研究課題/領域番号 |
23650330
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 健史 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (20535562)
|
研究分担者 |
松山 清治 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (40209664)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 姿勢調節 / 重心動揺 / 脳損傷 / 動物実験 |
研究概要 |
本研究の目的は,異なるラット脳損傷モデルを用いて姿勢調節障害の特徴を定量的に明らかにし,それらに対するリハビリ介入効果を検討することである.これは、中枢神経損傷損傷による姿勢調節障害に対する的確なリハビリプログラム開発のための基礎的データの提供につながると考える。 そこで本研究では次の項目を計画した。(1) 床面を一定速度で傾斜させた際の重心動揺を測定するラット用重心測定システム(ラット用重心動揺計、筋電図測定、動画記録)を構築する。(2) 健常ラットおよび大脳皮質、視床、小脳を損傷させたラット脳損傷モデルに対して、前後・左右方向の異なる傾斜角度における静的な姿勢保持(静的条件)での重心動揺、および前後・左右方向の異なる傾斜速度における傾斜反応時(傾斜条件)の重心動揺を測定する。更にワイヤー電極を用いた四肢の筋活動およびビデオによる動画を同時に記録する。(3) 脳損傷に伴う姿勢調節障害の歩行運動への影響について検討する。このため、トレッドミル歩行時の動作の解析およびはしご歩行テストなどの歩行運動の評価を行う。(4) ラット脳損傷モデルに対してトレッドミル歩行練習を実施し、その効果について検討する。 平成23年度は、ラット用重心測定システムを構築し、健常ラットを用いて静的および傾斜条件における重心動揺、筋活動、動画記録による姿勢調節能力の評価を進めている。結果の一部として、ラットは傾斜角度の増加に伴い、特に左右方向の傾斜時には積極的な四肢・体幹の姿勢調節反応を示した。また、その反応は傾斜速度の違いにより姿勢調節反応の出現および姿勢の補正が異なる状態を示していた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度の研究費交付決定について交付額の減額変更が行われる可能性があったため、測定システムの開発時期には、残額の送金決定の時期を考慮する必要があった。また、ラット用重心動揺計の測定機器の精度を担保するため、その調整および予備実験が必要となり、計画していたスケジュールを変更するに至った。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24度以降は、異なるラット脳損傷モデルを作製し、重心測定システムおよび歩行動作の評価を行い、これらに対する姿勢調節能力の回復に関する検討を行う予定である。 具体的には、大脳皮質感覚運動野および小脳は吸引除去による損傷、視床は直流電流の連続刺激による電気的損傷あるいはカイニン酸などによる化学的損傷を与えたラット脳損傷モデルを作製する。これらに対して先に構築した重心測定システムを用いて、前後・左右方向の異なる傾斜角度における静的な姿勢保持の重心動揺、および前後・左右方向の異なる傾斜速度における傾斜反応時の重心動揺を測定する。更に四肢の筋活動およびビデオによる動画を同時に記録する。また、脳損傷に伴う姿勢調節障害の歩行運動への影響について検討するため、トレッドミル歩行時の動作の解析およびはしご歩行テストなどの歩行動作の評価を行う。全ての測定が終了後、脳損傷の程度を確認するための組織学的検討を行う。 以上の健常ラット群およびラット脳損傷モデル群のデータを統計学的に比較・検討し、中神経損傷による姿勢調節障害の特徴について考察する。その後、得られた知見を基にラット脳損傷モデルに対するリハビリ介入後の姿勢調節能力の回復度合いについて検討するため、トレッドミル歩行(約2ヶ月間)を実施し、定期的な重心測定システムおよび歩行動作の評価を行う。 これにより、異なる脳損傷による姿勢調節障害の特徴の違いを定量的に明らかにすると共に、そのメカニズムの解明およびリハビリ介入の有効性について明らかにしたいと考える。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験動物購入・飼育費、研究材料および備品(記録用電極や試薬など)、研究成果の発表に関わる諸経費、実験補助および論文校閲に使用する予定である.
|