本研究では、ラットの姿勢調節反応の特徴を抽出するため、新たな小動物用重心動揺計を開発し、傾斜外乱時の重心変動と四肢筋活動について健常及び脳損傷モデルを用いて検討した。床面の異なる傾斜方向と傾斜速度による影響を調査した結果、健常モデルでは傾斜角度の増加に伴う四肢筋活動と傾斜反対側への体重移動による姿勢補正がみられ、この反応パターンは傾斜速度の増加に伴い変化した。一方、片側感覚-運動野損傷モデルでは麻痺肢の反応遅延と健側肢及び体幹による代償がみられ、傾斜速度の増加に伴い姿勢調節障害は顕著となった。以上より、本研究の手法を用いることで種々の中枢損傷に伴う姿勢調節機能の評価が可能になると考えられた。
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