研究課題/領域番号 |
23650333
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20178031)
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研究分担者 |
新井 祐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50347449)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 変形性関節症 / HSP70 / グルタミン / 温熱療法 |
研究概要 |
日本白色家兎の関節から軟骨細胞を単離しグルタミン(Gln)含有培地で培養した.Control群,温熱刺激 (HS)群,HS+quercetin (Que)群,HS+siHSP70群の4群を作製し,HS 8時間後にRNAを回収した.HSP70とaggrecanの遺伝子発現をreal-time RT-PCRで解析した.動物実験では温熱刺激装置として極超短波治療器(microwave :MW)(2.45GHz)を用いた.Wistar ratの膝関節に0~60WのMWを膝関節に負荷し適切なMWの照射条件を検討した. HS群ではHSP70およびaggrecanの遺伝子発現がcontrol群と比較して有意に増加した.しかしこれらの発現変化はQueまたは siHSP70の添加により有意に抑制された. MW照射後の関節内平均温度はそれぞれ,32.7℃ (0W), 36.2℃ (20W), 38.3℃ (40W), 43.2℃ (60W)であった.これらの結果からHS とGlnの併用による軟骨代謝の亢進作用はHSP70を介している可能性がある.以前われわれは関節内温度43℃以上では軟骨代謝が低下することを報告しており,今後の動物実験で使用する温熱刺激装置としては40WのMWが適切であると考えた.以上の研究結果は,HSとGlnの併用が軟骨代謝に与える影響のメカニズムを解析する上で重要である.またMWの至適条件は今後ラット変形性関節症モデルの治療機器として用いるための基礎データとして重要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HSとGlnの併用による軟骨代謝亢進のメカニズムについてin vitroの実験でその一部を明らかにした.またラット膝関節に対して適切なMW照射条件を確定した.これらは次年度に行う予定であるin vivoの実験における布石となる.
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今後の研究の推進方策 |
正常ラット膝関節に上記の条件のHSを加え,関節内注射でGlnを局所投与する.関節軟骨における遺伝子発現を解析することで,生体内における軟骨基質代謝に与える影響を検討する. 前十字靱帯を切離し,OAモデルラットを作製する.上記と同様にHSを加え,Glnを関節内投与する.膝関節を摘出し,OAの治療評価や副作用の評価を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は組織学的評価を行っていないために次年度に使用予定研究費が発生した.次年度にOAモデルラット膝関節と一緒に正常ラット膝関節を摘出し組織学的評価を行うことで対処する予定である.
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