研究課題
これまでに我々は,近年急速に発展し,今後の幅広い応用が非常に期待される経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation; TMS)と脳波(Electroencephalogram; EEG)の同時記録(TMS-EEG)において,刺激直後の短潜時成分から精度良く記録できる手法を開発・発表した(Sekiguchi et al. 2010 Clinical Neurophysiology).本研究はこの手法を用いて,障害者のリハビリテーションおよび健常者のトレーニングにおいて"脳神経ネットワークにおける学習定着の経時的変化"を明らかにすることを目的としている.その際,障害者においては脳梗塞,パーキンソン病,小脳変性症などの患者を対象に指の分離運動に着目し,これを習熟するまでの変化を追うことで,疾患により脳神経ネットワークの学習に対する変化にどのような違い・特性があるのかを明らかにする.また健常者に関しては指のタッピング運動における運動系列学習課題と鏡映描写を用いた運動順応学習課題においてトレーニングに伴う脳神経ネットワークの変化を追う予定である. 平成23年度における研究の進捗状況として,健常者対象の研究に関する上武大学での倫理審査,計測機器および運動課題のための装置の整備を進めた.また,連携研究者である茨城県立医療大学の河野医師と連絡を取り合い,障害者対象の研究の準備を進めてもらっているところである.
2: おおむね順調に進展している
平成23年度は,本研究遂行に必要な機器整備,運動課題実施のための装置作製,TMS-EEGにおける予備実験,本学における倫理申請などの環境面における整備を中心に実施した.おおむね想定内の進捗状況で次年度本格的に研究に取り組むことが可能であると思われる.
環境整備をほぼ終え,とりわけ健常者対象の研究をいち早く実施していく.障害者対象の研究の開始には多少時間を要すことが当初から想定されているが,現時点で問題は浮上しておらず,安全を第一に着実に推進していけるように茨城県立医療大学の河野医師と連携をとっていく.
次年度は,主として被験者の実験参加謝礼(謝金)および研究に必要となった消耗品または物品の購入,そして情報収集あるいは研究成果発表を目的とした学会参加費・旅費・宿泊費,研究内容を論文等で発表するための英文校閲費等に使用する予定である.
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
Clinical Neurophysiology
巻: 122 ページ: 984-990
doi:10.1016/j.clinph.2010.09.004
Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics
巻: 15 ページ: 942-953
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