研究課題/領域番号 |
23650340
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
村上 慎一郎 姫路獨協大学, 医療保健学部, 准教授 (30454763)
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研究分担者 |
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
藤田 直人 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (90584178)
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キーワード | 加齢性筋減弱症 / VEGF / PGC-1α / FLK-1 / SDH / 筋毛細血管 / 筋横断面積 |
研究概要 |
本研究は、サルコペニアに対して長期の有酸素運動の効果を検証することに加え、特に筋細胞と筋毛細血管ネットワークのクロストークを検証した。その結果,運動を処方された高齢ラット(98週齢)は,ミオシンタイプI型およびII型の骨格筋萎縮の予防が認められた.ヒラメ筋は,すべての筋線維がI型に変化していた.しかし,長趾伸筋では,II型線維のI型への移行の抑制が認められた.また,運動を処方されていない成熟中年期ラット(53週齢)と運動を処方された高齢期ラットを比すると,II型線維の横断面直径は有意に大きかった.そして,共焦点レーザー顕微鏡による3次元観察で観察した,筋毛細血管は,運動を処方された高齢ラットでは,処方されなかったラットと比し緻密な構築であった.それは,筋毛細血管直径の縮小,ねじれの減少が確認され,筋毛細血管流域容量の減少の抑制によるものであった.SDH染色像濃度は,運動を処方されたラットが濃染されており,ミトコンドリアの代謝活性に関係するPGC-1αの増加が認められた.そして,血管増殖因子(VEGF),および,血管増殖因子受容体(FLK-1)は,高齢の運動を処方されたラットが有意に多く発現していた.しかし,SDH染色濃度,および,PGC-1α,VEGF,および,FLK-1発現量は,成熟中年期ラットと比し有意に少なかった.筋毛細血管構築も粗であった.これらの結果より,老化は,不変であるため完全な予防は不可能であろう.しかし,長期間の有酸素運動は,サルコペニアによる,I型および,II型線維の萎縮と,その筋中の毛細血管退行を抑制する十分な効果が得られることが検証できた.
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