研究課題
本年度は,次の研究項目を実施することにより,皮膚接着型のハプティックディスプレイ開発なる本研究目的の達成を図った。1.「荷重と変位範囲拡大による触覚提示機構の高度化」 前年度実施したアクチェータのための電圧-変位特性の調査結果を踏まえ,電気活性高分子であるポリピロールを用いて,薄膜状でテーパを付した短冊形状のアクチュエータを作製し,負荷電位-変位特性を調べた。溶液中ではあるが,従来必要であった参照電極を用いることなくアクチュエータ単体で収縮させることが可能であることを確認した。また短冊形状を織り込んだ布状触覚提示機構作製の基礎として,その基本要素となる縦方向1本と横方向1本の短冊を組み合わせたアクチュエータユニット機構を作製し,短冊各々に正または負の電場を負荷することによって平面内のアクチュエータ制御に成功した。最大変位となる負荷電位の選択と参照電極の削除により,機構の高度化を図った。2.「接触圧力・せん断応力センサとの融合と機能評価」 触覚提示機構と皮膚間に挿入可能なフィードバック用の力覚センサを作製した。皮膚に接着可能な接触圧力とせん断応力の同時測定センサ構造を実現するために,ポリイミドフィルム上に成膜した銅薄膜電極と,圧力・せん断応力の変換素子として導電性ポリマー膜を用い,厚さが200ミクロン程度と非常に薄くフレキシブルなセンサを作製した。皮膚に作用する複合的な荷重環境においても,接触圧力に依存せずせん断応力を独立してかつ的確に測定できることを確認した。これにより,指の腹に直接接着が可能で,指が提示機構から受ける接触圧力と2方向せん断応力の合計3方向の接触応力を同時に測定可能なセンサを実現した。さらに,フォトリソグラフィー技術によって測定ユニットの微細高集積化を図り,親指に作用する圧力と2方向せん断応力を20箇所で分布として捉えることができるセンサを作製した。
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Proceedings of 7th International Symposium on Advanced Science and Technology in Experimental Mechanics
巻: M117 ページ: total4 pages