研究課題/領域番号 |
23650348
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
木竜 徹 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80115021)
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研究分担者 |
岩城 護 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20262595)
村山 敏夫 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50568368)
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キーワード | 福祉用具・支援機器 / 神経工学 / アシスト / 筋シナジー |
研究概要 |
筋電図計測では広範囲で計測できるマトリックス電極を用い、等尺性収縮時の筋疲労計測に関して、これまで使用していた2-bar電極で神経支配帯を避けた計測法を検証した(被験者5名)。さらに、日常的なサイクリング運動有無(被験者2名)で筋シナジー要素を検討し、アシスト効果が有意な下肢筋を検討した。また、地形依存で仮定した自覚的疲労度を生体信号から推定した疲労関連指標で重回帰モデル化した。その結果、外側広筋での筋電図の振幅値が疲労関連指標として有意でり、振幅値を変数とする10秒間(60rpm)の時間変化から、2次多項式で5~15秒未満先の変化を予測できる事を明らかにした。以上の成果に基づき、電動自転車のアシストを対象に小型ユニットで疲労の計測・推定とアシスト制御を実現するシーケンスを再構築した。この際、自覚的疲労度の重回帰モデルの決定係数が0.9以上と高かった事から、自覚的疲労度を生体信号で十分裏付けることで、安全性が担保されたアシストのタイミングとアシスト量を決定できる可能性が見えた。 定期的に運動している健常な高齢者を被験者とし、トレッドミルを用いて歩行速度と斜面変化に対する姿勢変化から高齢者で必要とするアシストを評価した。この際、歩行時の下肢筋活動様式を計測し、各関節の位置関係に着目して歩行姿勢を評価する指標を見つけることを試みた。高齢者は股関節戦略をより用いることが多いため、足関節戦略に着目することが重要であり、適切な量の共収縮であれば関節の固定性が高まり、姿勢制御が安定する。反対に共収縮が過剰であれば、パフォーマンスの低下やエネルギーコストの増大、さらには高齢者における転倒リスクの増大につながるとされている。以上のことから、足関節筋の共収縮と動的姿勢制御の関係性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
運動時の筋活動様式を正確に計測できる筋と電極貼付位置を検証した上で疲労時のアシスト制御を試行した(国際会議(IEEE EMBC’13)での発表が採択)。また、歩行時の傾斜角度による姿勢変化について、筋電図と画像解析による逸脱運動の検出法を報告した(日本体育学会第63回大会において優秀発表賞受賞)。 しかし,被験者数が少ない.また、重回帰モデルによる自覚的疲労度の活用がアイデアの段階である。フィールド実験で,アシストのタイミングとアシスト量を決定する方法の検証が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
重回帰モデルと高次多項式による予測で自覚的疲労度に基づくアシスト制御の実現可能性がみえてきた。しかし、実験数が数名と少なく、その場でのアシスト制御の有効性の検証は未完である。そこで、主観的疲労度をタブレット端末で収集する事で、その場での生体機能変化に基づく神経工学的アシスト制御をめざす。また、様々な年代を対象としたサンプルの確保が必要となる。特に高齢者においては運動実践者と非運動実践者において運動の特徴に大きな違いがみられる。これらを思慮した計測データの収集が重要であり、そのために地域健康教室に参加する高齢者あるいは要支援該当者を対象とした解析に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
重回帰モデルと高次多項式による予測で自覚的疲労度に基づくアシスト制御を実現するため、電動自転車の改修を行う。その際、自覚的疲労度と生体信号から推定した疲労関連指標を重回帰モデルで関係づけるため、タブレット端末でその場で自覚的疲労度の入力ができる様にする。さらに、生体信号から推定した疲労関連指標を提示可能なシステムとし、自覚的疲労度の実感が得られるアシストシステムをめざす。
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