研究課題/領域番号 |
23650349
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山越 健弘 金沢大学, 自然科学研究科, 准教授 (70444205)
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研究分担者 |
山越 憲一 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40014310)
松村 健太 金沢大学, 機械工学系, 博士研究員 (30510383)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 安全科学 / 健康・福祉工学 / 生体情報計測 / スマートセンサ情報システム / 電子デバイス・機器 |
研究概要 |
運転する直前あるいは停車中における健康状態(例えば,血圧,心拍数,血中酸素飽和度,血糖値,血中アルコール濃度,ストレス度,血管健康度など)を「指1本」から「短時間」かつ「簡便」にチェックし,運転者自身のその時点における健康状態を把握した上で,運転に対する安全運転意識の向上に役立たせることは,交通事故防止という観点から重要である.さらには日々の健康管理という観点からも意義深い.そこで,本課題では,我々の開発してきた各種生体計測技術を融合し,従来に無い新たな健康スクリーニングシステムを提案・試作して実用化に結びつけることを最終目標としている. 本年度は,使い易さを念頭に置いた装置システムの全体構想を行い,まずは計測原理が確立されており,かつ重要な生理指標である血圧,脈拍,血管緊張度(ストレス度),そして血管弾性度の4指標を同時に取得できるようなプロトタイプの開発を行った.すなわちこれらは光電容積脈波計測を基盤とし,血圧と脈拍は申請者らが開発した容積振動法を,ストレス度は末梢血管緊張度を指標とする基準化脈波容積を,血管弾性度は脈圧(=最高血圧-最低血圧)と基準化脈波容積を関数とする血管弾性指標をそれぞれ利用し,これらの情報を手指から同時かつ1分以内に取得可能な装置を試作した.また同時に,計測波形や解析値をPC上でリアルタイムに演算・表示できるような表示ソフトの開発も行った.本年度はこのプロトタイプの動作性能評価として,明らかに健康状態が悪くなった場合に当該生理指標に表れうるかどうかのパイロット・スタディを行い,今後の研究課題点を明らかにした. 上記と平行して,近赤外領域における複数波長の光電容積脈波を利用した血中アルコール濃度計測の可能性をin vitro(アルコール吸光特性評価)及びin vivo(アルコール負荷試験)下で予備検討し,その実現可能性も示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
第一次プロトタイプを試作した.その動作性能は期待以上に満足のいくもので,本年度に着目した4つの生理指標で体調判別ができる可能性が高いこともわかった.また,飲酒運転撲滅のための光学式血中アルコール濃度計測の可能性も示すことができた.これらの研究成果は,国内外の学術雑誌(生体医工学とSensors & Materials)にも掲載された.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果に基づき,まずプロトタイプ装置の不具合箇所(ハードとソフト)の改良・修正を行う.その後,明らかに体調が悪化している状況(徹夜明けなど)と通常時での多人数データを取得し,本装置より得られる4指標から,体調の判別ができるのかを検討する.また,上記と並行して,引き続き血中アルコール濃度計測の光学的手法の成立性をin vivo下で検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
繰り越し経費(平成23年度の残額)と本年度の経費を有効利用し,本システム専用の指カフの試作開発費,カフ圧/光電脈波の制御・処理ユニットの試作開発費に相当程度の開発費用を投入する.また,評価試験に関わる消耗品(PC周辺機器,生体計測用センサ,環境計測用センサ,アルコール飲料など),被験者謝礼,データ整理・分析に関わる人件費,材料加工費,および論文投稿費などの計上を予定している.
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