研究課題/領域番号 |
23650366
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神崎 素樹 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (30313167)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 運動調節能力 / 幼児 / 変動 / レーザー変位計 / 人差し指 / 発揮張力 |
研究概要 |
幼児の運動能力の評価には、筋量や筋力といった量的特性による評価が主であった。本研究はこれまで注目を浴びなかった幼児の力調節能力の重要性に着目し、この能力を定量評価する方法の確立を本年度の目的とした。本研究は人差し指の運動調節能力に焦点を当てているため、被験筋は第一背側骨間筋とし、動作は人差し指の位置保持課題とした。これまで、人差し指の運動課題および評価方法は、人差し指の外転-内転方向に限定されてきた。しかし、人差し指の自由度は極めて大きいため、多方向での評価が必要となる。そこで、本研究では、人差し指の外転-内転方向と屈曲-伸展方向の動きを2台のレーザー変位計より定量した。2方向の変位をオシロスコープにXY表示することで被験者への視覚フィードバックを行った。その際の、表示ゲインは1cm/devが被験者にとって最も分かりやすく、動作を理解しやすいゲインであった。人差し指の位置保持課題の結果、人差し指は、外転-内転方向より屈曲-伸展方向の方が変化および加速度が大きいことがわかった。また、瞬時の動作の仕方をarctanで算出したところ、外転-内転方向には変化せず、屈曲-伸展方向に変化することが定量できた。第一背側骨間筋が人差し指の動きに関与しているが、動作を調節する場合、第一背側骨間筋ではなく屈曲-伸展方向に関与する筋が貢献していることが明らかとなった。動作調節本年度の結果より、幼児の運動調節能力の"動作"を評価することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数のレーザー変位計を用いて水平面での人差し指の複雑かつ冗長な変動を定量することができた。そして、その結果を国際誌に投稿し、Journal of Electromyography and Kinesiologyに採択された。したがって、この方法を用いて幼児の運動調節能力を評価できると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
動作には「変位」と「力」が含まれる。したがって、今後は変位だけでなく力を測定する必要がある。また、本研究で明らかになったように、従来の外転-内転方向のみならず屈曲-伸展方向を含んだ水平面での力変動を今後捉える必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
水平面上での力変動をとらえるための張力計およびその消耗品が必要となる。人差し指周りの筋の筋電図および超音波画像を捉えるための関連消耗品が必要となる。実験を行う際の被験者謝金および測定解析用のソフトなどが必要となる。
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