研究課題/領域番号 |
23650375
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
金高 宏文 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 教授 (40214928)
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キーワード | ネットワーク / 動感 / 初級者 / 技術習得 / カン / コツ |
研究概要 |
本研究は,初心者や初級者が必要とする「動きのコツ」を明らかにするために,体育専攻学生から各種スポーツの「動きのコツ」情報を収集し,「動きのコツ」に関するデータベースを構築するものである.当該年度は,平成23年度に引き続き「動きのコツ」の情報収集(課題1)と試作した「動きのコツ」の情報データベースを学内のインターネット上で運用し,そのアクセス分析により収集したコツ情報の実用性等を検証する(課題3)ことであった. (課題1)の「動きのコツ」に関する情報収集は,平成23年度に引き続き多くのスポーツ種目の情報を効率よく得るために,体育専攻学生の2年次182名を対象に,各大学生が獲得した「動きのコツ」に関するレポートを金高ほか(2010)が考案した手順に従って作成させた.報告された種目は,20運動種目で,それぞれの種目で多様な技や状況のコツやカンが報告され,これらをデータベースの基礎情報としてデータ化した.次に,調査時間が確保でき,協力に同意が得られた20名について,さらに詳しい聴き取りを行った.そしてインタビュー内容,レポート内容,身振り等が撮影されたVTRを参考に「動きのコツ」に関する分解写真等を付した概念図の作成,概念図を説明するための解説を作成した.今年度より身振り動作等のVTRの映像情報の肖像権への対処をするためにモーションキャプチャーによる映像収集も試験的に実施した.そして,調査協力者に内容の修正・確認を行った. (課題3)の情報データベースの試作の学内運用は,データベースにおける映像等の肖像権対応及び試作したデータベースの不具合により実用性を確かめることができなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の研究計画上のコツ等の収集の目標数は,30件であった.しかし,実際には17件となった.これは,コツ等のインタビューすべき内容を精選したことにより,少なくなったものである.30件は質よりも量的な確保を目指しての数値目標であったが,内容の質の担保という点ではインタビューの17件は妥当な数と考えられた.その意味からすると,「おおむね順調に進展している」と評価される. 一方,試作したデータベースの学内での運用は,肖像権問題やソフトの不具合により,思うように進めることができなかった.その点からする,この点については「遅れている」と評価される.しかし,既にモーションキャプチャーによる映像収集や学内外の関係者との調整により,その対処法の準備はできている.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は「動きのコツ」の情報収集(課題1)と情報データベースのインターネット上での運用(課題3)を行う. 1)「動きのコツ」に関する情報収集は,平成23・24年度と同様な手順により体育専攻学生15名を対象に実施する. 2)データベースのインターネット上での運用による検証は,データベースをインターネット上に公開し,データベースの運用を当該年の8月より開始し,12月までの運用実績を基に,「動きのコツ」に関するデータベースの実用性を評価する.そして,掲載データに関する階層構造などを検討し,データベースの再構築を行い,次年度,4月から再度の運用を開始する. また,本研究の研究成果として,本取組について「スポーツコーチング学研究」あるいは「スポーツパフォーマンス研究」へ投稿の準備を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する助成金が生じたのは,主にインタビュー調査での人数が減じたことと,年度を跨いで3~5月に実施することとなり,調査協力者への謝金及び情報の整理に掛かる賃金を年度内予算で支払うことが出来なかったためである.当該経費は,次年度当初の中で「動きのコツ」に関する情報収集の人件費・謝金と不具合の生じたデータベースのインターネット公開用ソフト改善費で使用される.
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