研究課題/領域番号 |
23650378
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
志岐 幸子 関西大学, 人間健康学部, 准教授 (80554518)
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キーワード | 感性 / ゾーン / スポーツ / 芸術 / 文化 / ゾーン体験 / ゾーンの特性 / 感性理論 |
研究概要 |
平成24年度の研究においては、研究代表者の先行研究であるトップアスリートたちのゾーン体験と、文献調査による各分野のトップパフォーマーたちのベストパフォーマンスに関する同様の感性的体験についてまとめ、一般向けの書籍を出版した。 本著は、①一般社会に「ゾーン」というスポーツにおける感性的体験の概念やその具体的内容、さらには一般の人々もまた「ゾーン体験」という幸福感を得る感性的体験を会得できる可能性があることをわかりやすく伝える、②「ゾーン」がスポーツ以外の分野にも存在する可能性について示唆し、これまでスポーツ界の一握りの人々しか体験できないと考えられてきた「ゾーン体験」を一般の人々に身近に感じさせる、③「ゾーン」に入る方法を追求している人々に具体的なヒントを提示する、といった点で、意義ある業績になったと思われる。 また、トップアスリートのゾーン体験の事例研究は今秋発行予定の学会誌への掲載が決定しており、ゾーン研究における新たな視点が提示される予定である。 さらに、これまでの研究におけるゾーンの特性を、ゾーン体験やフロー体験に関する先行研究と合わせて分類し、24年度に実施した芸術家として国内外で活躍する人々を対象としたインタビュー調査の結果と共に、25年3月に米国スタンフォード大学における「2013 AAAI(Association for the Advancement of Artificial Intelligence全米人工知能学会 ) SpringSymposium Series」で発表し、同学会の学術誌(CD‐ROM)にも掲載された。25年度には国内の学会誌の特集として「ゾーン」と「感性」の研究について、論文が掲載されることが決定しており、これまで「感性」や「ゾーン」と無関係と考えられていた分野でも、本研究に対する関心が高まりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
社会へのフィードバックの点では、24年度に海外における学会発表や論文・書籍掲載を行い、順調といえるだろう。しかしながら、海外での学会発表や、文化人へのインタビュー等に費用がかかり、予算内での文化人のインタビュー収集が困難になったため。
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今後の研究の推進方策 |
前年の研究を基盤に、24年度にインタビューしきれなかった調査対象者への調査を補完しながら、「感性」の理論化・体系化に向けて、スポーツ、脳科学、心理学、哲学、東洋思想等の観点における文献調査、各種メディアの調査をさらに進める。 また、理工系の学会誌の他、一般スポーツ指導者向けの雑誌等でこれまでの研究成果をわかりやすく伝える「スポーツ感性学」についての連載や対談等が決定しており、これらの媒体を通して、「スポーツ感性学」の確立とその普及に力を入れる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究最終年度に当たる25年度の残金は、25年3月に行ったアメリカ出張の旅費等にも充当したため、間接経費のみとなっているが、これについては、今後のインタビュー調査の謝礼やテープ起こし代金、英文校閲等に、主に使用することを予定している。
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