本研究の目的は、昭和戦時期における浪江実科高等女学校の女性柔道の実態を明らかにして、15年戦争下での女性柔道の特徴を提示することにある。研究の結果、以下のことが明らかになった。1)同校の女性柔道は、学友会傘下の部活動として校長と講道館有段者の指導の下で、柔道の技の向上と活動的な女性(「板額」的女性)を目指して、生徒の自主的な参加で運営されていた。2)柔道部は、講道館と朝日新聞から画期的な存在として論評されていた。3)1942年以降、非常時下に巻き込まれる浪江と講道館の活動を比較すると柔道部の活動は、隣り合わせる戦時下から一時的に離脱させるスポーツ空間で、平時の活動だった。
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