研究課題/領域番号 |
23650380
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂本 健太郎 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 講師 (80374627)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 加速度センサ |
研究概要 |
運動の評価には、物体の飛距離や一定の作業を遂行する時間など、ひとまとまりの行動を単一の指標によって評価する方法が広く普及している。しかし、一つのまとまりとして取り扱われている連続的な動きであっても、細部を見れば、時間経過に伴う動きの揺らぎが存在する。運動とは体を動かす営みであり、このような動きの揺らぎは直接的には体に加速度が生じることによって生まれている。経時的な加速度計測による運動の可視化が実現すれば運動の質を評価することが可能となるが、加速度計測から得られる情報量は膨大なうえ、解析が難解であるため、これまで普及してこなかった。本研究では、動きのリズムに着目し、加速度情報から運動特性を短時間かつ簡便に定量する方法の確立を試みることを目的とし、本年度は下記の成果を得た。 人間の体の動きを計測するための小型加速度計測装置および解析ソフトウェアの開発を行った。この新規に開発した運動解析システムでは、腕や足先に加わる加速度を20Hzで計測し、動きの周期性を解析するとともに、その経時的変化をリアルタイムでパソコン上に表示する。また、これに並行して、装着型心拍数計測装置の開発を行った。開発した記録計は軽量かつ携帯可能で一回の心臓の拍動ごとに、心拍数を装置に記録できるものを製作した。開発した装着型の加速度および心拍数記録計の装着実験を実施し、これらの装置によって、運動中の動きのリズムおよび心拍数の変動を連続的に記録できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動解析システムの開発については、計画通りに研究が進展した。また、スポーツ競技の運動特性の解明についてはやや遅れているものの、運動と生理機能の関連性については当初予定していた以上の進展があった。これらのことより、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究でこれまでに開発を行った計測装置および解析ソフトウェアを用いることで、加速度の観点からのスポーツ競技の運動特性および運動と生理機能の関連性の解明についての研究を進める。運動と生理機能の関連性について、当初予定していた以上の進展があったため、ここで得られた工夫を今後の研究に取り入れ、研究目的達成に向けて全体の研究をこれまで以上に効率的に推進する。また、開発した運動解析方法の普及を広く進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
運動下での記録計の装着実験の進捗状況が、当初の予定より遅れたため、当該実験用の記録計制作に関わる23年度の研究費が一部未使用となった。また、これに伴い、研究成果発表のための旅費が未使用となった。次年度は、今年度予定していた装着実験を進めるとともに、今年度に開発した計測装置および解析ソフトウェアを用いた装着実験を幅広く行う。装着実験を行う過程で、装置の改良が想定されるほか、実験中の装置の破損の可能性がある。これらのことから、今年度および次年度に制作を予定していた装置を制作するための部品や材料の購入を行う。また、研究成果発表のための旅費としても研究費を使用する。
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