研究課題/領域番号 |
23650384
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
征矢 英昭 筑波大学, 体育系, 教授 (50221346)
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研究分担者 |
川中 健太郎 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 准教授 (80339960)
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キーワード | 脳グリコゲン / 筋グリコゲン / 運動 / 高炭水化物食 / 筋グリコゲンローディング / 脳グリコゲンローディング |
研究概要 |
運動時、筋グリコゲンは活動筋の重要なエネルギー基質として代謝され減少し、運動後に十分な糖質を摂ると超回復する(BergströmとHultman、Nature、1966)。これを応用した「筋グリコゲンローディング」により、運動前の筋グリコゲン濃度を高めると持久性パフォマンスは向上する(Raughら、1995)。一方、私どもはニューロン活動に不可欠とされる脳グリコゲンが長時間運動による疲労時に減少し、その後超回復することを見出した( Matsuiら、J Physiol、2011;2012)。この現象を応用すれば、持久性パフォマンスを高める脳グリコゲンローディングが実現する可能性がある。そこで本研究では、持久性パフォマンスを高める脳グリコゲンローディング法の開発を試みた。 1年目は、一過性運動後の糖質投与が脳グリコゲン超回復を筋同様に増強するかどうかを検討した。糖質投与は安静群の脳グリコゲンを変化させず、糖質投与無しでも生じた運動群のグリコゲン超回復を視床下部と脳幹で増強した。これらの結果は、糖質投与は運動後の脳グリコゲン超回復に必須でないものの、高炭水化物食が脳グリコゲンローディングを実現する可能性が初めて示唆された。 2年目は、筋グリコゲンローディング(1週間の運動と高炭水化物食の混合処方)は脳グリコゲン濃度を高めるかどうかを検討した。その結果、筋グリコゲンローディングは筋グリコゲン濃度を著しく増加させたものの、脳グリコゲン濃度を全く変化させなかった。更に、このとき、ラットの1週間の糖質摂取量は筋グリコゲン濃度と正の相関を示したが、脳グリコゲンとは全く相関しなかった。これらは、脳グリコゲン合成が筋のそれとは異なり、中期的な(1週間)糖質摂取量と無関係に制御されることを初めて示唆する。脳グリコゲンローディングには、一過性の運動とその後の栄養処方が有用かもしれない。
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