研究課題/領域番号 |
23650388
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
松下 雅雄 鹿屋体育大学, その他部局等, 理事 (40199790)
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研究分担者 |
中村 夏実 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 講師 (30287817)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 身体加速度 / 積分値 / カヌースプリント / カヤック / 水上パドリング |
研究概要 |
水上パドリングの動作の特徴や大きさ(エネルギー)の把握を,加速度計を用いて簡便に行うことができるかどうかを検討することを本研究の最終目的としている.パドリング動作は座位姿勢で上体の大きな捻転動作を伴って行われるが,これまでに身体の動きをとらえたもとして身体加速度の報告はなされていない。また,先行研究における身体加速度の報告は,歩行やランニングなど立位で行われる運動中に測定されたものであり,座位姿勢で行われる運動での報告は,筆者の知る限り座位位置(シート)の前後動作があるローイング動作で行われた2例だけである。そこでまず,座位姿勢で行われるカヌーカヤックパドリング動作における漸増負荷運動中(シミュレーションマシンを使用)のパワー出力と身体加速度,および酸素摂取量との関係を検討した.その結果パワー出力と3次元身体加速度の積分値および酸素摂取量との間には,有意な正の相関関係が認められ,身体加速度の積分値がパワー出力やエネルギー消費量を反映する可能性が示唆された.また,女子選手では,最大時のパワー出力の大きさと左右の身体加速度の積分値に有意な相関関係が認められた。これは,左右方向への水平移動を示すものではなく,体幹の捻転による遠心成分をとらえたものと考えられ,すなわち,大きな捻転動作によって,出力発揮がなされていると考えられた。一方で男子選手ではこの限りではなかった。現在,撮影した動作画像の解析中であり,動作解析の結果と身体加速度の積分値との関係を検討することで,積分値に現れる動作の結果が何を意味するものなのか,考察を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると思われる。計画どおり,パドリングシミュレーションマシンを用いた漸増負荷運動テストを実施し,座位姿勢のパドリング動作でも,身体加速度の積分値がパワー出力や酸素摂取量を反映することが確認された。動作分析が進行中であり,結論を決定づけるところまで至っていないが,男子選手と女子選手ではパワー発揮の形態が異なる可能性がみられた.それは,シミュレーションマシン牽引の長さを獲得することに貢献する,上肢長の長さまた筋力の差異に由来する可能性が考えられている。以上のとおり,おおむね,結論が導き出されていることから,(2)おおむね順調に進展していると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
動作分析を急ぎ,パワー出力や酸素摂取量を反映すると考えられる身体加速度の積分値が,どのような動作を反映するものかの考察を進める.それと同時に,本研究では最大パワー出力を漸増負荷運動テストにおける最大負荷時として,身体加速度の積分値との関係を検討しているので,あらためて,200mまたは500mのタイムトライアル(シミュレーションマシン)を実施し,試技時間、ピークパワー、平均パワーと身体加速度の積分値の関係を検討して,選手間のパワー出力の大きさの差異を,身体加速度の積分値で比較することが可能であるか否かを検討することを計画している.次に、当初計画の2年目以降の研究計画に則り、水上パドリング中の身体加速度計測に関する方法論を精査し,200mと500mの全力漕,1000mレースの中間一定ペース漕を実施する.水上パドリング中の艇速度、身体加速度、酸素摂取量を測定し,映像を収集して身体加速度やその積分値を用いて水上パドリングの動作を把握することが可能かどうか検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
加速度装置については,H23年度のうちに購入することができた.しかし,水上パドリング測定データのログシステムを検討する必要があり、ログシステムに関わる物品購入についても検討しなければならない.それ以外は,平成24年度は,水上測定のために,防水対策に必要な消耗品の購入あるいは加工費用,携帯型酸素摂取量測定装置のO2・CO2センサーの購入、測定時の動力船運用のためのガソリン代,および被験者・協力者謝金等に研究費を使用する予定である.学会発表等の旅費に充てる予算は捻出できそうにない.
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