研究課題
本年度は,最終的な目的である,スポーツ競技場面の実験的模擬とした実験を行うこととした。具体的な場面として,午前中に予選,午後に決勝(本選)があるような,陸上・競泳競技をイメージしたスケジュール想定を行った。運動は,最大無酸素性能力テスト(自転車エルゴメータによる10秒間の3段階の全力最大運動を2分間の休憩を挟んで3回繰り返して行う)を実施し,最大無酸素性パワー(AnP:ワット)を算出した。若い男性被験者(8名)は3回の実験に参加した。それぞれでは,12時過ぎに標準化された昼食をとり,13時20分から,① rest条件:1時間の覚醒状態を保つ,② nap条件:最初の40分間はrest条件と同様な覚醒状態を保ち,最後の20分間は静寂・低照度な恒温室のベッドでnapをとる,③ ds条件:napと同条件のベッドで1時間の深い睡眠をとる,のいずれかを行った。nap/ds中は脳波を測定し,睡眠ステージを判定した。運動は11時と15時より行い,その前に全身反応時間を測定した。睡眠の質は,nap条件でほぼ全員,睡眠ステージ1・2を示した。ds条件では,全員少なくとも1回は睡眠ステージ3・4に到達しており,熟睡に至っていたことが確認された。AnPは,午前中の測定値では3条件間に有意な差はみられなかった。午後のAnPでは,rest後,午前中と比較して低下傾向であった(P=0.06)。午前のAnPを基準として午後のrest/nap/ds後の相対的変化を求めてみると,ds条件の変化率(102.0±3.8%)は,rest条件(96.6±4.7%)と比較して有意に高値であった。全身反応時間は3条件共に有意な変化はなかった。若い男性においては,napよりもむしろ,深い睡眠ステージを含むより長い時間の午後の仮眠(ds)が,その後のスポーツパフォーマンスに何らかの正の効果を与える可能性が示唆された。
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