研究課題/領域番号 |
23650394
|
研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
船渡 和男 日本体育大学, 体育学部, 教授 (60181442)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 足底圧 / 床反力 / 荷重分布 / 垂直とび |
研究概要 |
足底圧分布の空間的・時間的定量化の試みとキネマティックスとの関連性を調べることを目的とした。足底圧、床反力および動作との関連例を探るために、本年度では作成した計測システムから出力される数値の正確性、再現性および妥当性を検証することを第一の目的とした。さらに跳躍動作中の足底荷重パターンを定量化して跳躍パフォーマンスと関連性を検討した。 計測分析システム構成:三次元モーションキャプチャーシステム、床反力計、足底圧計を同期するための計測システムの構成と、3つの計測機から得られるデータを統合する分析システム(分析ソフトウエア)を構成した。具体的には足底を解剖学計測点から区分を行うために、三次元モーションキャプチャーシステム(VICON MX20,Oxford Metrics Ltd)、フォースプレート(Kistler ,600×900 Switzerland)、足底圧計(Rs scan international , Belgium)をトリガーシステムを用いて同期した。統合システムの精度を検証するために、VICONのマーカー座標位置、フォースプレート足圧中心(COP)位置座標、足圧計のCOP位置座標について3測定装置から獲られる数値の測定誤差を算出した。 足底圧変化と身体の動作を関連づけるために、モーションキャプチャーに動作分析と足底圧変化の因果関係を求めた。 その結果、新しく開発した統合型計測システムの計測精度は十分に高いことが確認でき、跳躍のようなダイナミックな動作に応用できることが確認された。また跳躍高の能力の違いによる足圧荷重のパターンの違いが示され、跳躍動作中に足底荷重のピーク値が、踵、中足、前外足、前中足そして第一中足骨部位へと変化していくパターンが示された。この点について今年度以降詳しく定量化して検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の最大の収穫は、それぞれ異なる独立した計測器を統合することによって、同期して、足底荷重量の定量化を試み、その正確性、再現性および妥当性の観点から精度確認ができた点である。 具体的には、足底を解剖学計測点から区分を行うために、三次元モーションキャプチャーシステム(VICON MX20,Oxford Metrics Ltd)、フォースプレート(Kistler ,600×900 Switzerland)、足底圧計(Rs scan international , Belgium)をトリガーシステムを用いて同期した。そこではサンプリング周波数が最小である足底圧計測装置(R-SCAN)に合わせて、100Hzで足圧荷重、床反力及び3次元モーションキャプチャーデータを完全同期して取得した。特に足圧荷重量はx-yマトリックス上に位置変化を示し、1マトリックス内の数値で荷重量の大きさを表す3次元データを100Hzごとに時系列に沿った4次元データを取得することが可能となった。統合システムの精度を検証するために、VICONのマーカー座標位置、フォースプレート足圧中心(COP)位置座標、足圧計のCOP位置座標、3測定機間の測定誤差を算出した。 足底荷重位置と大きさについて圧力盤及び足の皮膚上に添付したランドマークの解剖学的位置から、正確性や再現性について検討した。その結果本システムから得られるデータ精度は、海外の学術雑誌に掲載された論文と比較して十分に誤差範囲が小さく、測定上の許容誤差範囲内にあり、適合していることが検証できた。また垂直とび踏み切り動作中の足底荷重の提供を試みた結果、跳躍高がよい人では足底荷重のピーク値が、踵、中足、前外足、前中足そして第一中足骨部位へと変化していくパターンがみられた。この点については今年度以降詳細に検討していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、ヒトの動作中の足底圧・荷重分布を定量化し、跳躍での有効な踏み切り動作のための足底圧・荷重分布パターン検討を以下の点に着目して、研究を遂行することを目的とする。1)足底を解剖学計測点から区分するために、三次元モーションキャプチャーシステム、床反力計、足底圧計を同期した統合システムを構築し、そのシステムから得られるデータの精度を検証する。2)垂直跳びの足底圧・荷重分布パターンから、跳躍高を決定する力積量に影響する有効的な床反力を獲得するための足底圧・荷重パターンを検討する。 動作としては基本的動作として、歩行、走行および垂直とび動作を選択する。それぞれの動作のキネマティックな特徴の異なる被験者あるいは群を構成して、そこでの足底圧の分布特長について、空間的かつ時間的な定量化分析を試みる。(例えば、歩・走動作などで、踵接地と外側部接地あるいはつま先接地と異なる被験者は、動作やキネマティックな変量にどのような違いが見られるのかを焦点として取り扱う)
|
次年度の研究費の使用計画 |
足底圧データの定量化:統合システムから得られる分布と圧力位置、荷重量の正確性と妥当性の検討を行う。本研究は、モーションキャプチャーシステムから得られたマーカー座標位置を足底圧計の座標に投射し、足底を解剖学計測点から区分する。足部の解剖学的計測点はM.C.Carson et al.,(2001)、足底区分方法はJ.Stebbinset et al.,(2006)を参考に、足底部位を5部位に区分する。跳躍高の優劣に分けた二群を構成し、足圧荷重の変化を比較する。 物品費(動作分析ランドマークシール、足底圧計測器表面マットなど)・・・120000円 旅費(国内外調査費)・・・250000円 人件費・謝金(専門的技術提供及び被験者・検者謝金)・・・200000円 その他(通信費など)・・・30000円
|