研究課題/領域番号 |
23650394
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
船渡 和男 日本体育大学, 体育学部, 教授 (60181442)
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キーワード | 足底圧分布 / 圧力の定量化 / 足形状 / 正確性 / 妥当性 / 垂直とび / モーションキャプチャー |
研究概要 |
本研究は、ヒトの動作中の足底圧・荷重分布を定量化し、跳躍での有効な踏み切り動作のための足底圧・荷重分布パターン検討を以下の点に着目して、研究を遂行することを目的とした。 1)足底を解剖学計測点から区分するために、三次元モーションキャプチャーシステム、床反力計、足底圧計を同期した統合システムを構築し、そのシステムから得られるデータの精度を検証する。 2)垂直跳びの足底圧・荷重分布パターンから、跳躍高を決定する力積量に影響する有効的な床反力を獲得するための足底圧・荷重パターンを検討する。 足底圧の定量化を行い、動作との関連例を探るために以下の内容について研究手法を確立した。計測分析システム構成を確立するために、三次元モーションキャプチャーシステム、床反力計、足底圧計を同期しため計測システムの構成と、3つの計測機から得られるデータを統合する分析システム(分析ソフトウエア)を構成した。足底を解剖学計測点から区分を行うために、三次元モーションキャプチャーシステム(VICON MX20,Oxford Metrics Ltd)、フォースプレート(Kistler ,600×900 Switzerland)、足底圧計(Rs scan international , Belgium)をトリガーシステムを用いて同期した。統合システムの精度を検証するために、VICONのマーカー座標位置、フォースプレート足圧中心(COP)位置座標、足圧計のCOP位置座標、3測定機間の測定誤差を明らかにした。足底圧変化と身体の動作を関連づけるために、モーションキャプチャーに動作分析と足底圧変化の因果関係を探った。動作としては基本的動作として、歩行、走行および垂直とび動作を選択した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
跳躍動作中の筋によって発生した張力は、関節トルクを生じ、最終的に足底部から地面や床に対して身体外力として伝搬される。身体外力の反作用では、身体重心の運動を決定する大きな要因となっている。この地面反力からの身体合成重心の効率的な動きを得るために、①どれぐらいの力の加減で(grading)、②どのタイミングで(timing)、③足底のどの部分を使って(spacing)、スポーツ競技現場では「足裏感覚」に注意が払われている。足底圧・荷重分布データと動作の因果関係や、競技スポーツパフォーマンス、技術(スキル)との関連性は不明である。本研究は、3次元モーションキャプチャーシステム、地面反力計および足底圧計を時間的、空間的に同期した統合システムを構築し、垂直跳び踏み切り動作中の足底荷重分布と競技スポーツパフォーマンス(跳躍高)との関連性を示し、そのパフォーマンスを獲得するための技術(スキル)を足底荷重分布から検討することを目的とした。足底圧データの定量化に関しては、統合システムから得られる分布と圧力位置、荷重量の正確性と妥当性の検討を行った。その際モーションキャプチャーシステムから得られたマーカー座標位置を足底圧計の座標に投射し、足底を解剖学計測点から区分した。足部の解剖学的計測点はM.C.Carson et al.,(2001)、足底区分方法はJ.Stebbinset et al.,(2006)を参考に、足底部位を5部位に区分した。その結果、本研究手法を用いることによって各足底区分ごとに信頼性の高いデータを得ることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
本統合システムから得られる荷重値の誤差は2.3 ± 1.5 %であり、荷重点座標位置の正確性は2センサー未満(9 mm以下)であった。垂直跳び踏み切り動作中の足底荷重分布の荷重移行パターンは、踵部位の荷重から始まり、重心の沈み込み後半でLFへ移行し、地面反力が最大になる地点でLFから最終的に前足部位のMF部位へ移行するパターンが示された。これは、歩行動作で得られているパターンと共通していることが示された。垂直跳びの高い跳躍パフォーマンスの獲得は、踏み切り動作中の股関節最大伸展トルクとLFかMFへ荷重を移行するタイミングが相対的に早いことが大きなMFのPI増加につながる足底荷重戦略(Plantar load strategy)の技術(スキル)によって高い跳躍を導く要因になっていることが推察された。 今後は、それぞれの動作のキネマティックな特徴の異なる被験者あるいは群を構成して、そこでの足底圧の分布特長について、空間的かつ時間的な定量化分析を試みる。(例えば、歩・走動作などで、踵接地と外側部接地あるいはつま先接地と異なる被験者は、動作やキネマティックな変量にどのような違いが見られるのかを焦点として取り扱う)
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次年度の研究費の使用計画 |
動作の違いによる足底圧変化の検討を行う。つまり足底圧と関連させてモーチョンキャプチャーデータから、kinematicsおよびkineticsから動きと足裏の圧分布の関係を探る。 人間の基本的な動作である動的(ダイナミック)な動作、歩行、跳躍(垂直跳び)を動作対象とし、足底圧分布の違いよる動作への影響を検討する。統合システムを用いて、足底圧・荷重分布がスポーツパフォーマンス評価において有効的になることによって、スポーツシューズ、インソールの開発において、競技スポーツ競技に特化したスポーツシューズ、インソール開発への定量的な情報提供が発信できるように努める。
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