研究課題/領域番号 |
23650400
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
近藤 良享 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (00153734)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 遺伝子ドーピング / 生の被贈与性 / 自己決定 |
研究概要 |
平成23年度 初年度は、研究ネットワークの確立と国内外の文献収集を開始する年度とした。国内の研究協力者としては、生命(医療)倫理の視点から遺伝子ドーピングやエンハンスメント論を研究対象にする2名の研究者(林、伊吹)に協力を依頼し、国内の関連文献の提供してもらった。彼らは、マイケル・サンデルの著作(2007)"The Case against Perfection"の共訳者(『完全な人間を目指さなくてもよい理由』ナカニシヤ出版、2010年)であり、コミュニタリアンのサンデル哲学を検討する上でも重要な知見を提供してくれた。特に、林とは頻繁に連絡をとりあって、情報交換を行った。 国外については、三カ国(カナダ、アメリカ、イギリス)、3名の海外研究協力者を依頼した。カナダは、サラ・ターチェル(マニトバ大学)である。アメリカは、ダニエル・カンポス(ニューヨーク市立大学)である。この両名には次年度の来日を確約してもらった。さらにイギリスは、マイク・マクナミー(スワンシー大学医学部)である。彼は、現在、医学部に所属し、スポーツと医学における研究倫理を研究対象にし、遺伝子ドーピング問題は彼のメインの研究テーマでもある。彼とはメールでのやりとりで来年9月の国際スポーツ哲学会の大会時に、この問題についての協議を行うことにしている。 平成23年度は、国内2名、国外3名の研究協力者らによる研究ネットワークを構築し、遺伝子ドーピング問題の論点の整理、関連文献の提供を受け、研究の全体構造を明晰にしている年度と位置づけて、着実に研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究は3年計画(平成23-25年度)で、平成23年度は研究開始の年にあたる。そのために、この問題についての人的ネットワークの構築を行うために、頻繁にメールにて連絡、情報交換を行っている。この問題に関連する文献・論文収集はもとより、次年度への来日、情報交換の準備も着実に進んでいる。 研究計画の平成23年度分は、確実に進めており、平成24年度に、カナダ、アメリカからの来日が確約されている。それと同時に、収集した文献・論文の分析にも着手している。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に構築した国内、海外の研究ネットワークを通じて、遺伝子ドーピングの何が問題なのかを検討する年度が平成24年度である。現在までに入手している、Angela J.Schneider & Theodore Friedmann(2006) Gene Doping in Sports:The Science and Ethics of Genetically Modified Athletes, World Anti-DopingおよびClaudio Tamburrini & Torjorn Tannsjo(2005) Genetic Technology and Sport:Ethical Questions, Routledgeの2冊を手がかりにし、さらに、生命科学、遺伝子工学、遺伝子治療などの関連分野にも視座を広げて資料を収集し分析する。 また、24年度は、カナダからサラ・ターチェル、アメリカからダニエル・カンポスを来日させ、この問題についての情報交換を予定している。 さらに、この年度では、次年度の平成25年度に開催する[遺伝子ドーピングに関する国際シンポジウム」企画を進め、併せて広報活動を行う。日本体育学会(現在、研究代表者が常務理事)をはじめ、39学術団体からなる日本スポーツ体育健康科学学術連合(現在、研究代表者が運営委員長)の加盟学会・団体にも参加を呼びかけ、「遺伝子ドーピング問題」を含めた[ドーピング問題」を国内研究者レベルで共通認識できるようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、海外からの2名の招聘者に関する経費、および研究代表者がこの問題についての研究機関、学会大会などにおける情報収集、文献収集ための旅費が主な経費である。 また、収集した文献の一部を翻訳業者に委託したり、最終年度の研究成果の発表のための英文校正経費なども含まれる。
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