研究概要 |
我々は、不活動や加齢による筋萎縮を運動が抑制する分子機構の解明を目指して研究を進めている。そして、これまでの筋萎縮に関する研究から、筋萎縮の一因がリボソームの合成低下である可能性を示した。そこで本研究では、リボソームの合成を抑制する"pRNA(プロモーターRNA)"に着目し、筋萎縮時における"pRNA"の発現とその役割、及びその制御機構の解明を目標に今年度の研究を行った。しかし、マウス骨格筋において、リボソームRNAを制御すると言われているpRNAの検出を試みたものの、リアルタイムPCRという高感度な検出機械であっても検出する事は出来なかった。そこで、同じく機能性RNAの一種であるmicroRNAについて、検討を行うことにした。microRNAはそのターゲットとなる特定のタンパク質のmRNAを分解したり、翻訳をおさえる機能がある。運動性筋肥大のモデル実験である代償性過負荷をマウスの足底筋にかけ、microRNAのマイクロアレイ解析を行ったところ、その一種であるmiR-21が筋肥大時に特異的に発現レベルを上昇させることがわかった。さらに、そのターゲットとなるPDCD4、PTEN、SPRY2等の発現を抑えることがわかった。この実験結果は以下のジャーナルに公表予定である。Tohru Takemasa, Yousuke Abe, Chiaki Kumagai, Hidenori Kiyosawa: Possible involvement of microRNA-21 in skeletal muscle hypertrophy. Adv. Exerc. Sports Physiol., 2012 in press
|