本研究では、発光ダイオード(LED)を用いた小型の光電脈波センサを用いて、三次元(3D)立体映像の視聴者における映像酔いを検出する手法を確立し、新しい小型映像酔いセンシングシステムとして開発する事を目的とした。平成25年度は、平成24年度まで研究開発を進めてきたLED光電脈波センシングモジュールを小型化システムとして実装する事、および当システムを用いた多被験者における実験により映像酔い指標の効果を実証する事を目的とした。まず脈波信号を広帯域に取得し周波数解析するため、広帯域フィルタを設計しセンサと共に基板実装した。これら基板を用いた小型センサシステムを作製した後、取得信号の解析にあたった。映像酔い成分の解析にあたっては、心拍および脈拍間隔のゆらぎから交感/副交感神経に関する指標が一般に論じられてきていたが、本研究では、実際に3D映像ソフト視聴中の被験者から取得した指尖光電脈波信号の周波数解析から算出した交感/副交感神経に関する指標と、さらに脈拍数の変動指標とを組み合わせる事で、有効な映像酔い成分として抽出できる事を確認した。3D映像視聴実験後、特に3D映像の変化が激しい場面付近で被験者から酔いを感じたという感想が得られたと同時に、上記映像酔い指標成分の変化点も検出した。また、複数被験者において同様の実証実験を行い、被験者の3D映像視聴実験後の感想と合わせて検討した結果、同指標が3D映像酔いの発生を反映した成分であると推察された。以上より、3D映像酔成分の抽出に本手法が有効であると考えられる。 研究成果の一部は電気学会電子回路研究会(東大寺文化センター)において発表した。
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