研究課題/領域番号 |
23650416
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
跡見 順子 東京大学, アイソトープ総合センター, 特任研究員 (90125972)
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研究分担者 |
清水 美穂 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 研究員 (00500399)
秋光 信佳 東京大学, アイソトープ総合センター, 准教授 (40294962)
廣瀬 昇 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (60460391)
跡見 友章 帝京科学大学, 医療科学部, 助教 (80611285)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 重力健康科学 / 長寿命化 / 体幹制御 / シャペロン / 身心一体科学 |
研究概要 |
重力場で進化してきた「地球上生命(細胞/個体/身体)は、出力依存性に生存する」ので、多細胞動物である人間は、身体内の細胞が適切に生存し、協調するべく、身体に具体的に向き合う正しい方法を、「身心をつなぐ体幹のバランス持続制御」の機構を明らかにする方法を細胞と身体の両面から構築する。(1)細胞:細胞培養ディッシュ上に作製した三次元光造形マイクロ剣山を用いて、細胞が接着時に発揮する力の定量的な評価系構築を試みた(農工大渡辺研究室との共同研究)。これまで非特異的な細胞接着が問題だったが、リン脂質からできている水溶性ポリマーでプレコーティングすることにより、解決することが判明したので、次年度は測定を行い力学的評価をする。(2)ヒト(1):体幹制御に重要な役割を果たすと考えられる深部も含めた腹部の3層の筋群の使い方を、リアルタイム超音波撮影により観察した。5名の男性被検者に本人が指示無しに行う片足立ちを2分間(C)を行ってもらい、バランス能力の向上に寄与すると考えられる太極拳で行われている片足への体重荷重法(T:膝/股関節の屈曲を伴う)と比較した。同時に、下腿(腓腹筋)及び大腿 部(大腿直筋)の筋活動を表面筋電図で測定した。C,T両群での立位ともに腹部筋群の腹横筋(最内側)、内腹斜筋(中間)、及び外腹斜筋(外側)の三層が観察できる両側腹部で観察した。C,Tともに、立脚側においては内腹斜筋の活動が主であり、リズムが観察された。遊脚側の腹部では3つの筋が調和的に働き、腹部で安定的にバランス維持に貢献していることが明らかとなった。ヒト(2):日本の伝統的な身のこなしなどに理想的な身体の使い方があると考えら、日本舞踊の西川流家元の協力を得て、踊りの最中の心拍変動を測定する予備実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞が発揮する力を測定できる評価系をつくることができた。背部と腹部が生み出す軸は、重力に抗する軸となることから、腹筋と背筋間のバランスがとれた制御が、ヒトの姿勢の要になるという仮説の一部を証明できた。
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今後の研究の推進方策 |
細胞実験:筋芽細胞の接着に対するαB-クリスタリンの役割を平成23年度に開発した力学評価系で検証するとともに、タンパクダイナミクスについてFLAP等により時間空間的に解析する。ヒト実験:高齢者の転倒防止に役立つ体幹を鍛えるための器具(丹田ボード)の開発に向け、丹田とは何かを科学的に評価する系の構築を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞実験については培養試薬や抗体等の消耗品に使用する。ヒト実験に関しては、(1)丹田評価のための測定装置の開発経費および伝統的な身のこなしの最中の理想的な身体技法を見いだすために小型テレメーター心電計(ジーエムエス社製RF-ECG)を購入する予定である。
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