研究課題/領域番号 |
23650417
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齋藤 邦明 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80262765)
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研究分担者 |
山本 康子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00331869)
村上 由希 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50580106)
齋藤 ゆみ 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40196019)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 心身の健康 / ストレス / バイオマーカー / インターネット |
研究概要 |
IT技術を用いてリアルタイムに接続させる次世代ストレス分析システムの構築を目指した研究であり、本年度は健診施設と協業して同意の得られた受診者から設問集を用いて、食事調査、ストレス解析の実施し、さらに血液を採取しサンプルを系統的に保存した。設問集から得られた結果は、ストレス評価グループによりプログラミングして解析するための基礎検討を行った。すなわち、客観的側面からの分析(類似回答パターンの有効性の検討)として、回答から類似の回答パターン(数種類)に分類し、ストレス度が高いパターン、ストレス度が低いパターンをクラスター分析により抽出するための基礎データを取得した。さらに、クロモグラニンAやコルチゾールなどの既存のストレスマーカーならびに血清及び血液細胞のプロテオーム解析を実施するための基礎検討を実施した。ストレスマ-カーとされているコルチゾ-ルは、予備検討結果よりサンプルの採取の時間を考慮する必要があり、健診サンプルの取得は午前8時から10時の間に行うこととした。さらに、新規ストレスマーカーの検索のため、高感度ナノLC / MS / MSシステムを用いたヒトプロテオーム解析により網羅的解析を行った。検体前処理方法はヒト血清中に高濃度で存在するメジャータンパク質を抗体結合カラムで除去した後、トリプシンで消化したペプチドを二次元ナノ自動分析システムと質量分析器を組み合わせたLC/MS/MSシステムによって分析を行った結果、いくつかの分析パターンが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の計画で科学的根拠を立証するための生体サンプルの採取およびストレス調査票を用いたデータの収集については、概ね順調に計画通り収集できた。したがって、受診時に実施する。主観的側面からの分析(自己申告の有効性の検討)として、自己申告において恒常的にストレスを感じている人、ストレスを感じていない人の抽出は次年度に充分可能と考えている。客観的側面からの分析(類似回答パターンの有効性の検討)として、回答から類似の回答パターン(数種類)に分類し、ストレス度が高いパターン、ストレス度が低いパターンの抽出が可能である。研究概要に記載した通り、クロモグラニンAやコルチゾールなどの既存のストレスマーカーならびに血清及び血液細胞のプロテオーム解析を実施するための基礎検討は概ね計画通り実施されている。一方、IT技術を用いた次世代型ストレス解析システムの構築がやや遅れており、ストレス評価グループによりプログラミングして解析の基礎検討を行ったが、構築に必要な条件を完全には満たしておらず、経費の一部の使用も次年度に繰り越した。ITを利用したシステム構築の未完成部分は、共同研究者を交えた会議を行って議論は進んでおり次年度前半で研究を実施したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
設問集をもちいたストレス解析の結果と既存ストレスマーカーの値を元にサンプルを高ストレス群と低ストレス群の二群に選別し、各サンプルをクロモグラニンAやコルチゾールなどの既存のストレスマーカーならびに血液細胞のプロテオーム解析を実施し、食事調査、ストレス調査の解析結果と総合的に判断するシステムの確立を目指す。申請書に記載した通り、将来的には慢性疾患の患者さんのストレス軽減に役立つシステムの構築を目指しており、研究所年度でやや遅れていた研究部門であるIT技術を用いた次世代型ストレス解析システムについては、予算も繰り越し申請しており、より一層の研究者間の連携を強化して目的が達成できるよう努力したいと考えている。研究分担者が1名異動により、研究分担者から外れたが、各専門分野の専門家を加えた研究組織が構築されており、さらに統計の専門家が研究に参加することで申請書に記載した実験計画を円滑に実施できると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究所年度で申請した研究計画よりやや遅れていた研究であるIT技術を用いた次世代型ストレス解析システムについては、予算を70万円繰り越し申請しており、この予算を充当する。当初の計画通り、24年度は物品費40万円に旅費5万円、人件費謝金として20万円、その他として25万円、繰り越し申請分70万円(物品費60万円、人件費10万円)、計上し、分担研究者に配分して研究を円滑に遂行する予定である。
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