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2012 年度 実施状況報告書

非侵襲的に測定した動的運動時の筋温と体温調節能・運動能に関する定量的解析

研究課題

研究課題/領域番号 23650418
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

常岡 秀行  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20188600)

研究分担者 芳田 哲也  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (00191601)
キーワード熱流補償法 / 筋温 / 深部体温 / 無酸素パワー / 有酸素パワー / 心拍数 / 発汗量 / 自転車運動
研究概要

前年度までは、生体にプローブを挿入・留置しない非侵襲的方法(ZHF法)により測定した活動筋温や従来の測定法による中枢温と動的運動時の体温調節反応との関係を定量化して,深部組織温測定としてのZHF法の有用性を検証する実験を実施してきた。その結果,非侵襲的方法(ZHF法)により測定した深部組織温測定の有用性が多様な実験結果から示された。
今年度は温熱ストレスを軽減して運動能力を最大限に発揮できる至適筋温の程度を明らかにするため,熱流補償法を用いて測定した活動部位組織温(筋温)と運動能力との相互関係について検討した。具体的には,健康な成人男子10 人を対象とし,28℃に設定した実験室にて自転車負荷装置(POWERMAXVIII)を用い,最大パワー出現時の60%負荷強度による最大速度の自転車漕ぎ運動(8秒間を40秒の休憩を挟んで10回)を水循環スーツを用いた様々な下半身冷却・加温条件(10~40℃の水循環)にて実施した。その際,大腿部の筋温(ZHF法),皮膚温・中枢温(鼓膜温),自転車運動による平均出力パワー・最大パワー・パワーの低下率を測定した。
平均出力パワー・最大パワー・パワーの低下率は大腿部および下腿部筋温が38℃の条件では36℃の条件と類似し,34℃および32℃の条件に比べて高かった。しかし、鼓膜温は38℃の条件では運動中に有意に上昇したが、36℃では一定の傾向を示し、34℃および32℃では安静時に比べて有意に低下した。さらに運動中の発汗量や心拍数は38℃の条件が最も高く,34℃および32℃の条件に比べて有意に高かった。
したがって、最大速度における自転車漕ぎ運動中の出力パワーを維持し、かつ温熱ストレスを軽減できる活動筋温は36℃であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度は、非侵襲的方法(ZHF法)により測定した深部組織温測定の有用性が多様な実験結果から示された。また平成24年度には温熱ストレスを軽減して運動能力を最大限に発揮できる至適筋温の程度を明らかにする実験を実施した結果、最大速度における自転車漕ぎ運動中の出力パワーを維持し、かつ温熱ストレスを軽減できる活動筋温は36℃であることが示された。
今年度は最大有酸素パワーに焦点を当てて昨年度と同様に水循環スーツを用いた様々な下半身冷却・加温条件(10~40℃の水循環)を設定して実験を行う。また本研究課題の最終年度であるため、これまで実施した実験データから筋温と体温調節能・運動能との相互関係を解析して暑熱環境下における運動能力の維持のための至適筋温や,熱中症予防に関する科学的根拠を明らかにする。
このように、本研究は交付申請書に記載した内容を潤沢に達成出来ていると考えられるため、現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

昨年度は温熱ストレスを軽減して運動能力を最大限に発揮できる至適筋温の程度を明らかにするため,熱流補償法を用いて測定した活動部位組織温(筋温)と運動能力との相互関係について検討した結果,最大速度における自転車漕ぎ運動中の出力パワーを維持し、かつ温熱ストレスを軽減できる活動筋温は36℃であることが示された。
今年度は最大有酸素パワーに焦点をあてて、昨年度と同様に水循環スーツを用いた様々な下半身冷却・加温条件(10~40℃の水循環)を設定して実験を行う。具体的には健康な成人男子10 人程度を対象とし,28℃に設定した実験室にて自転車負荷装置(リカベント式エルゴメーター)を用い,負荷漸増法による自転車漕ぎ運動を水循環スーツを用いた様々な下半身冷却・加温条件(10~40℃の水循環)にて実施する。その際,大腿部の筋温(ZHF法),皮膚温・中枢温(鼓膜温),自転車運動による最大運動時間・最大酸素摂取量を測定し、同時に温熱ストレスの指標となる発汗量や心拍数を測定する。これらのデータから、温熱ストレスを軽減して有酸素パワーを最大限に発揮できる至適筋温の程度を明らかにする。
また、これまでに得られた実験データを整理して、1)筋温の程度と中枢温との関係,2)無酸素・有酸素運動能力に影響を与える温熱性要因、3)繰り返しパワーの持久性,および有酸素パワーが最も高値を示す筋温について検討し、温熱ストレスを軽減して運動能力を維持できるや中枢温や筋温の程度を定量化する。
さらに本研究課題の目的である「非侵襲的方法(ZHF法)により測定した深部組織温測定における有用性」に関して運動時に使用した場合の利点・欠点・問題点を整理する。

次年度の研究費の使用計画

今年度は本研究課題の最終年度であるため、主に実験被験者および補助者の謝金や研究成果の発表(論文掲載料/学会旅費等)に使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] The influence of internal and skin temperature on active cutaneous vasodilation under different levels of exercise and ambient temperature in humans2013

    • 著者名/発表者名
      Demachi, K, Yoshida, T, Kume, M, TsujiM. Tsuneoka, H
    • 雑誌名

      Int. J. Biometeorology

      巻: 57巻 ページ: 589-596

    • DOI

      10.1007/s00484-012-0586-y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The effect of starting or stopping skin cooling on the thermoregulatory responses during leg exercise in humans2012

    • 著者名/発表者名
      Demachi, K
    • 雑誌名

      Int J Sports Med

      巻: 33 ページ: 514-520

    • DOI

      10.1055/s-0031-1301329

    • 査読あり
  • [学会発表] 成人男女の環境適応能力に与える運動習慣の影響2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤琢磨
    • 学会等名
      第51回日本生気象学会大会
    • 発表場所
      長野県松本文化会館(長野県松本市)
    • 年月日
      20121108-20121110
  • [学会発表] 現代日本人の環境適応能力に与える運動習慣の影響2012

    • 著者名/発表者名
      芳田哲也
    • 学会等名
      第67回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      長良川国際会議場(岐阜県岐阜市)
    • 年月日
      20120914-20120916
  • [学会発表] 女性スポーツ選手のトレーニング期における温熱負荷時の体温調節反応

    • 著者名/発表者名
      佐藤琢磨
    • 学会等名
      第142回京都滋賀体育学会
    • 発表場所
      京都工芸繊維大学(京都府京都市)
  • [学会発表] 身体活動と水分・塩分

    • 著者名/発表者名
      芳田哲也
    • 学会等名
      第27回日本体力医学会近畿地方会
    • 発表場所
      大阪市立大学文化交流センター(大阪府大阪市)
    • 招待講演
  • [学会発表] 活動筋の組織温度や中枢温と運動能力に関する運動生理学的解析

    • 著者名/発表者名
      井上恵子
    • 学会等名
      第5回健康科学研究会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都府京都市)

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公開日: 2014-07-24  

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