研究課題/領域番号 |
23650419
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大渡 伸 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (80128165)
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研究分担者 |
山内 正毅 長崎大学, 教育学部, 教授 (00128232)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 地球温暖化 / 熱中症対策 / 紫外線防御 / 服装工夫 / 省エネ |
研究概要 |
東北大震災・原発事故およびタイの洪水などの災害が重なり、研究に必要な主要機器が揃ったのが12月になっていた。従って、6月~9月の夏期が実験期間である本研究の遂行は一部停滞した。研究目的の「(1)市民が行っている熱中症予防対策と紫外線防御法の問題点について検証する。」に関して、従来の既存機器を駆使して行う事が出来た。平成23年度研究:「市民が行っている熱中症予防対策と紫外線防御法の問題点について検証する。」で年間96回の市民の外出時服装について屋外調査を行った。昨年の長崎気象台観測データから、6月(夏日:13日,真夏日:7日,熱帯夜:3日)から9月(夏日:16日,真夏日:12日,熱帯夜:6日)までの4ヶ月間の調査データを解析した結果から、 (1)暗色系の服装の着用が、まだ漸増している。特に暑い日ほど黒色系衣服が多い。 (2)女性は一般的に10・20代では、キャミソール,タンクトップ,Tシャツやチュニック,ミニスカート・パンツ,ハイソックス,ニーソックス,レギンスを多様に組み合わせ、熱中症対策に有効な皮膚の露出面積は広かった。 しかし、30・40代でワンピース,ブラウスにからトレンカ,レギンス,タイツ、さらにロングパンツやスカート等を組み合わせた服装だが、紫外線防御の傾向が強まり皮膚の露出面積は、10・20代に比較し減少する。50代以上ではさらに同様の傾向が強まっている。一方、男性では、スーツ,ワイシャツ,長ズボン、若者で短パン,Tシャツ,ランニングだが、バラエティーに乏しい。(3)猛暑日には熱中症対策に徹底した服装(タンクトップ+ミニ・パンツ)が少数みられる。だが、紫外線対策に徹した服装(黒のジャケット+長ズボン)が上回まわる。I.高温と強紫外線を同一視し、猛暑日程、暗色系服装になる傾向が有る。II.天候に応じた服装の選択に困り両極端の選択に偏る傾向が有る。III.紫外線防御部位に誤りが有る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
7月に、科研費が一律3割カット試案の通達が有り、9月下旬に科研費カット無しの連絡が来た。しかし、この3ヶ月間には科研費3割削減の場合には研究における最重要項目の支障無き遂行が出来る様、実験計画の再構築が迫られた。ここで再度、購入機器や器材・資材の費用配分と機器性能低下が無く研究結果の信頼性を落とさない方法とその機器性能の調査に時間が費やされた。また、3月11日の東北大震災および原発事故により、生産拠点が東北や北関東にある実験資材の不足で入手困難となり、科研費3割カット解除が解除となった7月から、タイの洪水による工場生産停止の影響で、23年度の主要な研究機器がほぼ揃ったのは12月に入ってからである。34年間の研究生活の中で、これ程の機材調達が困難な年の経験は無かった。研究の為の主要機器が揃ったのが12月になってからで、実験期間が6月から9月の夏の期間である本研究の目的や計画に掲げた本研究遂行には停滞が生じた。既存の機器で出来る、平成23年度計画に掲げた項目で「(1)市民が行っている熱中症予防対策と紫外線防御法の問題点について検証する。」に関して、従来の既存機器を駆使して行った。しかし、その他の実験項目については平成24年度に遂行する。平成23年度研究:「市民が行っている熱中症予防対策と紫外線防御法の問題点について検証する。」で年間96回の市民の外出時服装について野外調査を行った結果、上記項目については達成された。
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今後の研究の推進方策 |
【I.太陽光暴露部位の特定と紫外線被爆量の相対的評価】直射日光下、協力依頼した実験被検者が歩行運動および立位,座位の姿勢をビデオカメラに記録する。被検者の体にフィットした衣服の陰影から、太陽光暴露と非暴露の部位を判別する。当然の事ながら、太陽との位置関係(方向や角度)により太陽光暴露部位は異なるので、姿勢や,太陽との位置関係を変え撮影を行う。 この各々の画像データを総合的に解析し、ほぼ常時太陽光で明るい部分の重点的に紫外線防御すべき体の部分(重点的紫外線防御部位)から段階的に太陽光暴露が少ない部位を判別する。 その各々の部位で紫外線被爆量を測定し、相対的な被爆量の評価を行う。 これ等の結果から、紫外線被爆量が大きい部位は紫外線防御効果高く、紫外線被爆量が小さい部位は熱放散効果が高い衣服を考案する。【II.熱中症予防効果の評価実験】平成23年度の野外調査で得られた夏期の服装から、各衣類の紫外線透過線量を測定し、日常的に着ている衣類の紫外線防御効果について評価する。また、代表的な服装と、I.で考案した服装について、各部位で衣類を通過する透過紫外線量を測定し比較する。同時に口腔温(体温の指標),衣服下の皮膚温(熱放散の指標),衣服の表面温度(衣類の放熱効果の指標)を測定し、紫外線防御と熱中症防止の両者に関する効果について評価する。この実験は、6 月から9 月まで(紫外線量が多い季節)の快晴の日、10 時~15 時(紫外線量が多い時間帯)の間に行う。【III.保健健康情報の公開】ホームページを開設し、この実験の解析結果から、熱中症対策として有効で紫外線影響を最少に止めた服装の情報公開を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度も継続する野外調査およびアンケート調査にて、市民への詳細な資料提示のためにノートブック型PCと、データ収集のためにデジタルカメラを各々1台。また、アンケートにため、多数の用紙やカラープリントの写真用紙やインクゼットリボンが必要となる。【太陽光暴露部位の特定と紫外線被爆量の相対的評価】の実験に、太陽光入射角測定器資材,方向や傾斜が設定できる紫外線量測定台の資材,太陽光暴露による被検者の陰影を全方位撮影できる人体用回転盤の資材,これ等資材を加工する工具が必要である。また、直射日光下の実験なので水分補給および露出皮膚の日焼け防止対策が必要である。紫外線測定には紫外線感知シートも用いて行う。衣服考案に各種布等が必要となる。【熱中症予防効果の評価実験】日常的に着ている衣類の紫外線防御効果について評価に、夏期の衣類を購入する。体温計および輻射体温計,温湿度計が必要である。 コンピュータに関する消耗品や解析ソフト,資料収集・調査旅行の旅費,実験協力者に対する謝金、さらにこれ等の結果をまとめた市民向けの広報パンフレット作製費が必要.本研究は、平成24年に終了するので、次年度には繰り越さない。
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