研究概要 |
近年、熱中症が増加している。屋外では、熱中症対策と紫外線対策の関係は二律排反性が高く、紫外線障害が周知された結果、過剰な紫外線対策が熱中症発症の要因となる事例が激増している。本研究は、適正な紫外線対策を提示し、その状況で最も効率良い熱中症対策を検討する。服装改善により、屋外における熱中症回避法を、健康情報として発信し社会貢献する事を目的とする。 太陽光中約6%の紫外線の受光部位は、二足歩行するヒトの体では遍在する。通常、屋外では座位,立位,歩行中の三姿勢に集約され、ヒトの姿勢・方向と太陽光角の相対角度および天候,時間,季節により、受光する部位および面積が異なってくる。また太陽入射光と受光部面のなす角度が直角に近い程、受光部の光エネルギーは強くなる。 実験は、(1)歩行中のビデオ映像から典型的な姿勢の抽出画像,(2)回転盤上で座位,立位の姿勢で回転させたビデオ映像から太陽光に対し30°毎の抽出画像について受光部を検証した。また、(3)市街地での服装調査から、市民認識の問題点について検討した。(1),(2)から解剖学上ヒトの体表面を、①常時受光部となりレベルの高い紫外線防御が必要な部位,②ヒトの姿勢・方向と太陽との相対角度により受光の確率が高い部位,③太陽との相対角度や体の影となり、受光の確率が低い部位の三種に分類した。結果①の部位は紫外線対策を優先し、高温多湿の状況では②の部位も熱中症対策を考慮し、また③の部位は熱中症対策優先とした。上記結果から(3)の服装調査を検証すると、部位差の対策が無く③の部位でも熱放散性が低い服装で熱中症対策が劣悪などの問題点が有った。特に、女性の服装には著しい改善点が有り、ファッション性も考慮した衣服改善の重要性を痛感した。 本研究結果および汎用性の高い服装改善を検討し、保健健康情報に関するホームページを開設し、屋外の熱中症対策に貢献する。
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