研究課題/領域番号 |
23650421
|
研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
范 永輝 四国大学, 生活科学部, 助教 (10341265)
|
研究分担者 |
安好 敏子 四国大学短期大学部, 幼児教育保育科, 教授 (00078908)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 健康法 / 身体軸 / 太極拳 |
研究概要 |
1.平成23年度は太極拳熟練者を被験者として、以下の手順で研究を行った。(1)身体各部の感覚、身体制御感の評定票と5段階の制御方略調査表を作成し、被験者数20名の画像撮影後、インタビューによってデータ収集を行った。(2)研究に先立ち、学内倫理委員会の承認を得て、個人情報の保護へ配慮した。(3)熟練者所属団体と熟練者の了解を得た上で、県内外の熟練者の元に出向き、画像と面接によるデータ収集を行った。2.データの整理から以下の研究成果が得られた。(1)画像、インタビューのデータから、熟練者は身体軸に偏りや歪みがなく、自然に身体軸を立てた動作をしていること、その制御は内部感覚を含む心身両面での制御であることが確認された。具体的には、身体軸形成において、足裏の感覚、頸をつり下げられる様な感覚、腰、腹部などの下半身が落ちる感覚、全身が広がる感覚など身体感覚を中心とする多様な制御方略を用いていることが明らかとなった。(2)こうした身体軸制御のために、熟練者は共通して「ゆるめる」努力をしていることが明らかとなった。身体軸制御と自然な動きを生む前提として「ゆるめる」努力と、身体制御の誤りを修正するテクニックとしても「ゆるめる」ことが用いられていることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学内倫理委員会の審議と承認を得るための時間、県外熟練者被験者の選定と熟練者の予定に合わせた日時、場所でのデータ収集のため準備に要する時間がかかり、23年度研究準備とデータ収集だけにほとんどの時間を費やすこととなった。データを整理し、その結果熟練者の身体軸制御方略について成果が得られたが、さらに体育学、心理学からの専門的検討、分析を加える時間が必要なため。
|
今後の研究の推進方策 |
熟練者データの結果について、早急に体育学、心理学から専門的検討、分析を加えて研究推進をはかる。次に初心者を被験者に画像とインタビューによるデータ収集を行うが、以下の通り一層の研究推進をはかる。初心者は県内在住であるため、短時間に集中的に研究を進める。得られたデータを整理した上で、体育学、心理学から専門的な検討、分析を加える。熟練者と初心者両群のデータを比較検討し、身体軸制御方略の「コツ」と制御している「つもり」について明らかにし、正しい、自然な身体軸制御方略のあり方を解明する。この結果を指導原理、指導方法として中高齢初心者を対象にした指導実践に応用し、その結果を検討、分析する。得られた成果は研究会で検討し、論文としてまとめ、公表する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1.初心者群として県内太極拳初心者20名に研究協力を依頼する。初心者が所属する団体に出向いてデータ収集を行う。これに旅費(ガソリン代等)を用い、研究協力に対して謝礼を支払う。2.データ収集は画像撮影とインタビューによって行い、インタビューでは身体軸制御評定調査票を用いる。初心者データの撮影と記録用具購入のために物品費を用いる。3.熟練者群と初心者群のデータを比較し、熟練者の「コツ」と初心者の制御している「つもり」の身体軸形成における身体的、心理的制御方略の特徴を解明する。このための会議を持つので、会議費と資料作成に謝礼と物品費を当てる。4.正しい身体軸制御の方法、誤った身体軸制御の原因とその転換方法とを健康法の指導原理、指導方法として、四国大学公開講座初心者受講生10名を対象に指導実践して効果測定を行う。研究協力に対しては謝礼を支払い、記録に必要な物品を購入する。5.結果をまとめ、論文として公表する。このため物品費と論文作成上の指導助言に対しては謝礼を用いる。
|