研究課題/領域番号 |
23650427
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中路 重之 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10192220)
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研究分担者 |
檀上 和真 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90463760)
松坂 方士 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70431434)
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キーワード | 呼気ガス / 水素 / 一酸化炭素 / メタン / 健康度 / 一般住民 / 加齢 / 岩木健康増進プロジェクト |
研究概要 |
平成23年度に引き続き、岩木健康増進プロジェクトの健康調査参加者約800名(20歳以上の男女)を対象とした。対象者の6成分(一酸化炭素、水素、メタン、エチルアルコール、アセトン、イソプレン)の呼気中濃度をBiogas AnalyzerTM, BAS-1000, BAS-2000(ガスクロマトグラフィーの原理、ミトレーベン製)を使用して測定した。さらに、以下の健康関連項目を測定した。 ①聞き取り調査による調査測定項目(経済状態、家族構成、学歴、生活習慣、肥満度、既往歴、家族歴、現病歴、薬物服用状況、睡眠状態、休養状況、便通・排尿状況、うつ度、QOL、健康管理能力、アレルギー症状) ②その他の測定値:動脈硬化、心電図、肺機能、骨密度、4関節X線像、血清元素等19種、歯周病、唾液量、残存歯数、聴力、認知症、好中球機能、整形外科的所見、血液所見(白血球数,血色素量)、総蛋白,アルブミン,総コレステロール,HDLコレステロール,LDLコレステロール、トリグリセリド,GOT,GPT,ガンマGTP,クレアチニン,BUN,グルコース,HbA1c、尿酸,免疫グロブリン3種、補体2種、ヘリコバクターピロリ抗体,ペプシノーゲンI,II、糞便中ヘリコバクターピロリ抗原)、体力運動機能、腸内細菌 以下の結果が得られた。①水素:男女とも加齢で低下、女性でのみ運動習慣と負の相関、②一酸化炭素:男女とも加齢で低下、男女とも喫煙で上昇、女性では飲酒でも上昇、③メタン:女性では加齢で上昇、肥満度、喫煙と負の相関、飲酒とは正の相関、④アセトン、イソプレン、エチルアルコール:とくに有意な関連はみられなかった。⑤6成分とも腸内細菌との関連性はみられなかった。 以上より、呼気ガス(特に水素、一酸化炭素、メタン)で健康度を推定できる可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、「浸襲性のない測定方法である呼気ガス中の6成分(水素、一酸化炭素、メタン、アセトン、エチルアルコール、イソプレン)濃度と各種健康関連因子(ライフスタイルなど)の関連を検討することで、呼気ガス成分測定による健康度推定の可能性を検討する」である。 計画通りの研究が行われ、以下の結果が得られた。①水素:男女とも加齢で低下、女性でのみ運動習慣と負の相関、②一酸化炭素:男女とも加齢で低下、男女とも喫煙で上昇、女性では飲酒でも上昇、③メタン:女性では加齢で上昇、肥満度、喫煙と負の相関、飲酒とは正の相関、④アセトン、イソプレン、エチルアルコール:とくに有意な関連は見られなかった。 以上より、呼気ガス測定(とくに水素、一酸化炭素、メタン)で健康度を推定できる可能性があると考えられた。これは、浸襲性のない測定方法である呼気ガス中の3成分(水素、一酸化炭素、メタン)濃度測定により、健康度推定の可能性が示されたもので、ほぼ当初の研究目的を達成できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究で得られた成果、「呼気ガス測定(とくに水素、一酸化炭素、メタン)で健康度を推定できる」を性別年齢別に詳細に検討したい。そのためには、今後も継続される岩木健康増進プロジェクトの研究テーマとして残し、対象数を増やしたい。また、今回明確な関連性が指摘できなかった腸内細菌との関連性の詳細な検討を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究結果に対する最終的な会議、とくに腸内細菌の測定を行ったテクノスルガ株式会社、静岡県静岡市及び研究の相談者(埼玉県和光市理化学研究所の研究者)との最終的な解析会議を行い、その後結果の公表を行いたい。
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