研究課題/領域番号 |
23650429
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 喜代次 筑波大学, 体育系, 教授 (50163514)
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研究分担者 |
中田 由夫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00375461)
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キーワード | 腹部内臓脂肪 / 心血管系疾患危険因子 / 肥満者 / multiple-slice法 / 運動介入 / 食事介入 / 縦断研究 / MRI |
研究概要 |
平成23年度では,MRIのmultiple-slice法を用いて①腹部内臓脂肪体積と最も関連の強い撮影部位は,従来の臍位ではなく,臍位より9 cm上部であること,②HDLコレステロールおよび中性脂肪は臍位より3-16 cm上位において有意な関連があることを明らかにした.そこで,平成24年度はこれらの結果について,より明確な測定部位を特定ために,縦断研究(減量介入研究)おこなった. 中年肥満男性を対象に,運動介入(37名)と食事介入(24名)をそれぞれおこない,MRIによる腹部内臓脂肪体積および面積,血液の変化を検討した.統計解析を施した結果,得られた知見は以下のとおりである. ①3ヶ月間,週3回,1回90分の有酸素性運動を中心とした運動介入をおこなったところ,体重,腹囲および内臓脂肪体積が有意に減少し,すべての心血管疾患リスク要因が有意に改善された.運動実践による内臓脂肪体積の変化は,従来の評価部位であるL4-L5より4-9 cm上の内臓脂肪面積の変化と有意に関連した.心血管疾患リスク要因は総コレステロール,中性脂肪,血糖,インスリンと有意な関連が見られたが,最も高い関連はすべてL4-L5より5-6 cm上の内臓脂肪面積であることが明らかにされた. ②3ヶ月間,週1回,1回90分の食習慣改善により,体重,腹囲および内臓脂肪体積が有意に減少した.また,すべての心血管疾患リスク要因が有意に改善された.食習慣改善により内臓脂肪体積の変化は,従来のL4-L5より5-6 cm,9 cm,11-13 cm上の内臓脂肪面積と有意に関連した.心血管疾患リスク要因の変化においては,総コレステロール,中性脂肪,血糖,インスリンにおいて有意な関連が認められたが,部位による有意な違いは認められなかった.ただ,有意な関連性は認められないものの,4-5 cm上の内臓脂肪面積と最も関連の高い傾向がみられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究目的は,腹部内臓脂肪の変化を定量化するための測定部位および心血管系危険因子の改善と最も関連する測定部位の検討であった.研究実績概要の通り,縦断研究(運動介入,食事介入)の実施により測定部位に関する一定の見解を得ることができたことから,順調に進展しているといえる.また,平成25年度の研究課題に向けて必要な準備を進めており,すでに次の研究課題に取り込み可能な状態に整えてある. なお,本研究課題をより明確にするための対象者数が十分であるとはいえないことから,平成24年度の課題については今後も研究を継続し,より明らかな知見が得られるように努めたい.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年,24年度の結果に基づき得られた評価部位を独立変数とした内臓脂肪量の推定式を作成する.従来の内臓脂肪面積の基準値の妥当性を検討する.これまでに,得られた評価部位で腹部全体の内臓脂肪量(体積)を推定できる式を作成する.また,疾患リスクの高い肥満を判定する内臓脂肪量のカットオフ値を算出する.課題1~3で得られた成果から,内臓脂肪の蓄積量を最も反映する評価方法と基準値の提案を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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