研究課題/領域番号 |
23650430
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
秋本 崇之 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00323460)
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キーワード | シグナル伝達 / メカニカルストレス / ストレッチ / Nanog / ES細胞 |
研究概要 |
再生医療におけるヒトiPS細胞・ES細胞の臨床応用には,感染性を排除した大量培養法が必要である.しかしながら現在,主に使われているiPS細胞・ES細胞の維持培養法は,胎仔マウス線維芽細胞との共培養であり,また培養液中に動物由来物質を含んでいる.将来的に,動物由来細胞・動物由来物質を排除する為,ヒト血清・フィーダー細胞の使用が試みられているが,ヒト由来物質による汚染が否定できない.そこで本研究では,これら外来因子を用いずに,物理的刺激を用いてiPS等幹細胞の未分化性を維持する培養法の開発を試みた. フィーダー細胞フリーで維持培養可能なマウスES細胞(CCE)を,底面がシリコーンの培養プレート(Flexcell plate)に,LIF(Leukemia Inhibitory Factor)の非存在下で培養する際,10%,0.16Hzの引張り応力を負荷しながらの培養条件が最も未分化マーカーであるNanogの発現を維持させたことから,この培養条件が未分化性を維持するための物理的刺激として最適であると考えられた. しかしこの条件においてもNanogの発現はLIF存在下の培養に比べて50%以下であるため,引張り刺激のみでマウスES細胞の未分化性を維持することは困難であると考えられた. 次に引張り刺激がNanog発現を誘導するメカニズムを検討したところ,引っ張り刺激依存性のAktのリン酸化がNanogの転写活性化に寄与していることが示唆された.この引っ張り刺激依存性Aktのリン酸はPI3Kの阻害剤やアクチン重合化阻害剤の添加で消失するため,引張り刺激によるNanogの発現維持には,アクチン-PI3K-Aktシグナルが関与していることが推察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究期間内に計画された研究をほぼ達成し,かつ本研究内容を論文化することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は本研究で得られた培養条件がヒト幹細胞やマウスIPS細胞に適応可能かどうかを検討する.また,引張り刺激によるNanogの発現維持に関して,引張り刺激がどのようにアクチン-PI3K-Aktシグナルを活性化しているのかを検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
今後は本研究で得られた培養条件がヒト幹細胞やマウスIPS細胞に適応可能かどうかを検討する.ただ,残予算はごくわずかである.
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