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2013 年度 実績報告書

幹細胞の未分化性を物理的刺激により維持する試み

研究課題

研究課題/領域番号 23650430
研究機関東京大学

研究代表者

秋本 崇之  東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00323460)

キーワードシグナル伝達 / メカニカルストレス / ストレッチ / Nanog / ES細胞 / iPS細胞
研究概要

再生医療におけるヒトiPS細胞・ES細胞の臨床応用には,感染性を排除した大量培養法が必要である.しかしながら現在,主に使われ ているiPS細胞・ES細胞の維持培養法は,胎仔マウス線維芽細胞との共培養であり,また培養液中に動物由来物質を含んでいる.将来 的に,動物由来細胞・動物由来物質を排除する為,ヒト血清・フィーダー細胞の使用が試みられているが,ヒト由来物質による汚染が否定できない.そこで本研究では,これら外来因子を用いずに,物理的刺激を用いてiPS等幹細胞の未分化性を維持する培養法の開発を試みた.
フィーダー細胞フリーで維持培養可能なマウスES細胞(CCE)を,底面がシリコーンの培養プレートに,LIF(Leukemia Inhibitory Factor)の非存在下で培養する際,10%,0.16Hzの引張り応力を負荷しながらの培養条件が最も未分化マーカーであるNanogの発現を維持させたことから,この培養条件が未分化性を維持するための物理的刺激として最適であると考えられた. しかしこの条件においてもNanogの発現はLIF存在下の培養に比べて50%以下であるため,引張り刺激のみでマウスES細胞の未分化性を維持することは 困難であると考えられた. 次に引張り刺激がNanog発現を誘導するメカニズムを検討したところ,引っ張り刺激依存性のAktのリン酸化がNanogの転写活性化に寄与していることが示唆された.この引っ張り刺激依存性Aktのリン酸はPI3Kの阻害剤やアクチン重合化阻害剤の添加で消失するため ,引張り刺激によるNanogの発現維持には,アクチン-PI3K-Aktシグナルが関与していることが推察された.これらの知見は,Horiuchi et al. Exp Cell Res, 318, 2012に報告した.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Cyclic mechanical strain maintains Nanog expression through PI3K/Akt signaling in mouse embryonic stem cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Horiuchi R, Akimoto T, Hong Z, Ushida T.
    • 雑誌名

      Exp Cell Res.

      巻: 318 ページ: 1726-1732

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Control of cell differentiation by mechanical stress.2013

    • 著者名/発表者名
      J. H. Park, T. Ushida, T. Akimoto
    • 雑誌名

      J Sports Med Phys Fit.

      巻: 2 ページ: 49-62

  • [学会発表] Mechanical stretch maintains Nanog expression through PI3K/Akt signals in mouse embryonic stem cells.2014

    • 著者名/発表者名
      R. Horiuchi, T. Akimoto, Z. Hong, T. Ushida.
    • 学会等名
      International Symposium on Mechanobiology 2014
    • 発表場所
      Okayama
    • 年月日
      20140520-20140523
  • [学会発表] Mechanical stretch maintains Nanog expression through PI3K/Akt signals in mouse embryonic stem cells.2013

    • 著者名/発表者名
      T. Akimoto, T. Ushida.
    • 学会等名
      第68回日本体力医学会学術総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130921-20130923
  • [学会発表] メカニカルストレスと細胞分化.2013

    • 著者名/発表者名
      153. 秋本崇之.
    • 学会等名
      第21回日本運動生理学会
    • 発表場所
      川越
    • 年月日
      20130727-20130728
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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