研究課題/領域番号 |
23650432
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
秋間 広 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (40292841)
|
研究分担者 |
押田 芳治 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (10169295)
小池 晃彦 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (90262906)
|
キーワード | 筋内脂肪 / プロトン磁気共鳴分光法 / 磁気共鳴映像法 / 超音波エコー / 高齢者 / 骨格筋 / 生活習慣病 / 糖尿病 |
研究概要 |
本年度は高齢群15名(男性7名,女性8名,平均年齢74歳)および若齢群15名(男性8名,女性7名,平均年齢20歳)を被検者として,超音波エコーのエコー強度をもとにした筋内脂肪指標(IMF index),プロトン磁気共鳴分光法による外側広筋と大腿二頭筋・長頭の筋細胞内脂肪(IMCL),磁気共鳴映像法による大腿中央部の筋組織断面積および筋内脂肪(IMF),を測定した.また空腹時に採血を行い,ヘモグロビンA1c,トリグリセリド,遊離脂肪酸,HDLコレステロール,LDLコレステロール,アディポネクチン,インスリンについて調べた.さらに,任意の10日間の身体活動量と歩数を計測した.その結果,高齢群の超音波エコーによる大腿二頭筋の筋内脂肪指標と歩数との間に有意な相関関係(r=0.65, P <0.01)が認められたが,その他のパラメータには両群ともに有意な相関関係は認められなかった.一方,高齢女性の外側広筋のIMCLにおいてインスリンとの間に有意な相関関係(r=0.85, P <0.05)が認められ,一方,若齢女性においては有意な負の相関関係が認められた(r=-0.79, P <0.05).MRIによる筋内脂肪においては,大腿部の筋内脂肪を従属変数に測定に用いたパラメータを独立変数にしてステップワイズ重回帰分析を行ったところ,大腿部の筋組織断面積のみが高齢群(R2=0.41)および若齢群(R2=0.50)ともに選択された.以上のことから,プロトンMRSによるIMCLおよびMRIによる筋内脂肪はそれぞれ計測しているものが異なる可能性が考えられる.一方,超音波エコーによる筋内脂肪指標に関しては,測定精度が前者の二つの方法より劣ることが考えられる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は上記に示したように高齢者の筋内脂肪について3つの異なる手法を使って,筋内脂肪を測定し,血液性状や身体活動量などとの関係について検討した.被検者を地域のコミュニティーから募ること,大学の教養実験施設であるMR装置の使用時間が限られていることなどから考えると達成度としては十分であると個人的には評価している.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は介入研究を行う予定である.現在その予備実験を進めているところである.具体的な測定内容としては,神経筋電気刺激によりどの程度筋内脂肪の利用をすることができるのかという点について検討する.測定パラメータは今年度と同様である.今年度の達成度で示したように,用いる装置が大型の大学共用実験施設であるため測定時間が限られていたり,他の使用者との兼ね合いもあるので測定には数ヶ月を要する. 今年度に得られた研究成果を国際論文として発表していく作業も同時に進めて行く.今年度には少なくとも2本の論文を投稿できることを予定している.
|
次年度の研究費の使用計画 |
来年度の研究費には,MR装置の使用料に約100万円,血液分析30万円,本年度の研究成果発表のための海外出張で40万円程度を予定している.また,これらの分析にパーソナルコンピュータを購入することも検討している.これらが来年度の主な使途であると現在のところ考えている.
|