研究課題/領域番号 |
23650444
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
松岡 英子 信州大学, 教育学部, 教授 (20126709)
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研究分担者 |
松岡 樂 信州大学, 教育学部, 教授 (50135117)
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キーワード | 介護職員 / ストレス / コーピング / 負担感 |
研究概要 |
高齢者を施設で介護している介護職員の介護ストレスや負担感などの職場ストレスについて、その影響要因とコーピングの様態についてストレス理論を適用して解明し、介護職員のエンパワーメント支援に関するメカニズムを析出することを目的にしている。 初年度は介護職員の介護ストレスや負担感に関する内外の研究成果のレビューをし、介護職員のコーピングスタイルを問題解決型、認知変容型、回避情動型に区分するとともに、インターネットの各種サイトの内容を整理した。24年度は介護職員へのインタビュー調査を行い、この結果を基にして、職場環境整備によってストレスやバーンアウトがどの程度軽減できるかという問題意識のもと、ストレスやバーンアウトを引き起こす要因を明らかにすることを目的として、介護職員686名を対象とした配票調査を実施した。有効回答数は514である。データ入力が終わり、分析に着手している。 ストレス理論で重要な概念である「コーピング」に関しては、概念の混乱と把握方法の難しさのために実証研究が遅れているが、インターネットの相談サイト、介護職員へのインタビュー、介護職員への配票調査の結果を総合して捉えている。配票調査の分析では、コーピングに関する自由記述の分析も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的は、高齢者を施設で介護している介護職員の介護ストレスや負担感などの職場ストレスについて、その影響要因とコーピングの様態についてストレス理論を適用して解明し、介護職員のエンパワーメント支援移管するメカニズムを析出することであり、その結果を基に介護職員支援のためのWebシステムを開発するものである。 これまでに、研究成果のレビュー、インターネットの介護職員向けサイトの相談内容の収集と検討、介護職員のインタビュー調査、介護職員への配票調査を実施した。当初の計画では、介護職員へのインタビュー調査を24年度中に終了させる予定であったが、配票調査分析後に分析に必要とされるインテンシブな情報を収集するために実施するように変更した。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね当初の研究計画に沿って実施する予定である。25年度前半は24年度末に実施した配票調査のデータ分析を中心に進めるが、10月頃に介護職員へのインタビュー調査(1ケースにつき、1~2時間程度)を計画しているので、対象者選定のための資料収集にも力を入れる。長野県内の複数の社会福祉法人の協力を得ており、介護職員の選定は順調にいくものと思われる。12月には、配票調査とインタビュー調査の解析を終了し、介護職員のストレス回避のための資源要因の有効性、コーピングパターンに注目して具体的な行動のバリエーションを抽出する。介護職員のエンパワーメント支援のためのWebシステムの開発に着手し、年度末までに希望する数名の介護職員に使用してもらう。さらに、次年度には対象者の評価を得ながら改善していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額が生じたのは、研究分担者の旅費の支出が少なかったこと、インタビュー調査を25年度に回したことにより、インタビューアや対象者への謝金や旅費の支出がなかったことによる。研究分担者の旅費に関しては、学会や研究会への出席の日程調整がうまくできなかったことによる。また、インタビュー調査の多くを25年度回したことに関しては、大学での仕事が特に多く、インタビュー調査の時間が取れなかったこと、研究を進める中で、インタビュー調査の位置づけを変更した方が有効であるという結論に達したことによるものである。 25年度の研究経費は、関係図書(高齢者介護、Webシステム構築、データ解析等)、ノートパソコンやデータ解析ソフト、モデリングソフトなどの物品費、文具などの消耗品、研究会や学会、施設視察、インタビュー調査のための旅費、謝金はインタビューア、データ整理、および高齢者福祉施設関係者からの専門的知識の提供謝金等を予定している。
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