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2011 年度 実施状況報告書

商品の使用、公共サービスにおけるデザイン倫理に関する生活科学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23650448
研究機関東北工業大学

研究代表者

梨原 宏  東北工業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40128971)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード倫理 / 商品 / 公共サービス / デザイン
研究概要

1.既往の倫理学(工学倫理、情報倫理、生命倫理、環境倫理ほか)についてデザイン倫理として問うべき課題の有無を調査し、その探求では浮かびあがってこないデザイン倫理としての課題について考察し、デザイン倫理が捉えようとする他の応用倫理との違いと独自性を求めた。2.研究協力者である研究室学生との対話を通して、デザイン倫理の表れとして日常生活における商品の使用および公共サービスの中からデザイン倫理を問うべき対象として、携帯電話、コンビニ弁当、ゴミ処理箱、通学路、小公園、駅改札機、避難所を抽出した。その上で、学生および市民を被験者として、それぞれのデザイン対象毎に、使用時の使用者の状況、動機、感情などを盛り込んだ使用シナリオを書かせるとともに、その時の心理状況を形容詞対を用いて心理評価を行った。同様に観察者の目を通した観察シナリオと形容詞対による心理評価を行った。そして収集したデータの比較と分析を通して、それぞれについて責任管理と心情管理に関わる倫理性を見いだし、どのような倫理的問題があり、それを克服するにはどうすべきかの課題を明らかにした。3.それぞれのデザイン対象を研究室の学生の研修作品課題として取り上げ、卒業制作作品として具体化した。作品は卒業制作展で公開され、アンケート調査により作品に触れた市民約100名より意見を収集した。その結果、おおむね好評を得、デザイン倫理を捉えたデザインの具体化に参考となる多数の意見を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

抽出した日常生活および公共サービスにおいて問題となる7つのデザイン対象の分析のみでは倫理を捉える範囲が不十分であり、次年度では、子どもの遊びのあり方をとらえたゲーム機器、心身機能の衰えたお年寄りをとらえたバス交通システム、屋外環境の美観を問う屋外広告を追加し、使用におけるシナリオ調査、形容詞対による心理評価を加える。一方、次年度に計画していたデザイン課題を捉えた改良案の募集を、卒業研修制作として前倒して具体化を進め、実りのある成果を得た。以上の通り、おおむね順調に研究が進展している。

今後の研究の推進方策

1.倫理を問うデザイン対象として、ゲーム機器、バス交通システム、屋外広告を加え、使用者、観察者の目から見たシナリオ調査および心理調査を行い、倫理上の問題点を明らかにする。2.それぞれのデザイン対象をもとに、責任管理、心情管理に視座したデザイン倫理要素を収集し、それの分類と構造化を行う。デザイン対象ごとに共通する倫理項目、対象に固有の倫理項目を分類するとともに、それぞれが倫理上の問題をにもたらす心の動きと行動を構造化し、デザイン対象に欠けているデザイン倫理解の本質をとらえる。3.以上をもとに、全ての対象に適用可能なデザイン倫理評価項目を案出し、チェックリストを作成する。同様にデザイン対象に固有な倫理要素をもとに、対象ごとのデザイン評価項目を案出し、チェックリストを構築する。そのチェックリストをもとに、デザイン対象と前年度作品成果のデザイン評価を試みその妥当性を検証する。4.新たに加えたデザイン対象を捉えたデザイン案を研修成果を通して具体化し、評価を行う。5.デザイン倫理評価項目を加えた総合的なデザイン評価システムの構築の可能性について検討する。

次年度の研究費の使用計画

1.物品費:データ処理に関わる周辺機器として、スキャナー、モニターの購入、作品制作費用、アンケート調査費用、報告書作成費用を充てる。2.出張旅費:学会出張、、デザイン対象の調査費用に充てる。3.人件費・謝金:学生及び協力者へのアンケート調査・分析に関わるアルバイト料を充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ワークショップ「豊かさのデザイン」:セッション3:道具の使用に関するモラル

    • 著者名/発表者名
      梨原 宏
    • 学会等名
      第4回日本デザイン学会第1支部大会
    • 発表場所
      札幌市立大学サテライトキャンパス
    • 年月日
      平成23年11月19日

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公開日: 2013-07-10  

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