1.最終年度に実施した研究の成果 (1)デザイン対象に携帯ゲーム機器、ゲームセンター、公共バス、屋外広告を加え、使用者、観察者から見たシナリオ調査及び心理調査を行い、倫理上の問題点を明らかにした。(2)対象の責任管理、心理管理に視座した倫理要素を収集し、対象毎に共通する倫理項目と固有の倫理項目を見出し、全てに共通な、および対象毎に固有なチェックリストを構築し、アンケート用紙を作成した。(3)学生による作品提案を行い、展示会を通して評価を行うと共に、チェックリストを用いた作品の評価を行い、構築したデザイン倫理評価項目の妥当性を得た。 2.研究期間全体を通じて実施した研究成果の概要 (1)デザイン倫理が捉えるべき課題を既往の応用倫理との関係から考察した結果、デザイン倫理は応用倫理と深く結びつき、それを補完する働きがあることが分かった。(2)商品の使用および公共サービスの中からデザイン倫理として問うべき対象として携帯電話、コンビニ弁当、ゲーム機器、ゲームセンター、通学路、公園、ゴミ分別、改札機器、避難所、市営バス、屋外広告を選び、約20名の学生を動員し対象に使用シナリオと心理評価、使用者の観察シナリオと心理評価を行い、対象毎に責任管理、心理管理上の問題点を見出した。(3)得られた責任管理、心理管理上の問題点をもとに、デザイン倫理評価項目の抽出とその構造化を行い、全てに共通なチェックリスト(30項目)と、対象毎に固有のチェックリスト(10~20項目)を構築し、アンケート用紙を作成した。(4)学生による改善案の作品提案(13作品)と展示会を行い、提案によるデザイン倫理性の改善効果が鮮明となった。(5)チェックリストをもとに作品提案事例を検証した結果、構築したデザイン倫理評価項目の妥当性を得た。(6)生活者の視点に立つ総合的なデザイン評価システム構築への可能性を拓いた。
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