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2011 年度 実施状況報告書

子宮がん患者の放射線治療衣の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23650455
研究機関神戸大学

研究代表者

井上 真理  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20294184)

研究分担者 佐々木 良平  神戸大学, 医学部附属病院, その他 (30346267)
吉田 賢史  神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80351906)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード子宮がん / 放射線治療 / 治療衣 / 着用感
研究概要

がんの治癒率は飛躍的に向上している中で、患者の関心は治療中、治療後の生活面での環境の改善(Quality of life: QOL)に移りつつある。特に女性がん患者にとっては、治療中に恥ずかしさや不快な感情を我慢しなくてはならない切実な問題であることから治療時に着用する衣服の開発が急務である。本年度は以下の4点にわたって研究を展開した。1.着脱の問題、放射線技師が扱いやすいかどうか、放射線照射ポイントである皮膚マーカーの特定が可能かどうか、放射線照射による化学反応、副作用で皮膚反応を増強させないか、コストの問題など、これまでの治療経験に基づいて取り上げ、考えられる必要条件を検討するとともに、さらに治療に支障がないように必要な条件を吟味した。(井上、佐々木、吉田)2.衣服材料を検討し、数種類の布を候補として選定を行った。(井上)3.測定、照射による化学反応、皮膚炎の有無の検討のために、治療衣に使用した材料に関して、必要な実験的検討を行った(佐々木、吉田)。4.患者は皮膚感覚が敏感になっている可能性が高いため、材料の風合い・触感の良さを、布の力学特性と表面特性から導き、患者の着用感の向上を検討した。具体的には、引張りせん断試験機、曲げ試験機、圧縮試験機、表面試験機(KES)を用いて、候補となった衣服材料の力学特性、表面特性を測定し、先行研究の布の客観評価法を用いて、材料の触感を判断した。(井上、佐々木、吉田)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の具体的な目的は、生活科学を、医療現場で展開させることによって、子宮がんの女性がん患者が放射線治療時に感じている精神的ストレスを少しでも和らげ、治療効果の低減や副作用の増強なく、これまでの治療環境を改善し、快適に放射線治療を受けるための衣服を開発することである。現時点では、子宮がんの女性がん患者が放射線治療時に着用する衣服の試作にいたろうとしているところであり、子宮がんの患者が現状よりも安心して快適に放射線治療を受けられるように、医療スタッフの協力を得て、治療に必須な条件を満たした上での放射線治療時の衣服の開発に取り組んでいるところである。

今後の研究の推進方策

1.昨年度の研究内容を踏まえて、放射線治療時に着用する衣服を試作する。治療用の衣服として必要条件を満たすまでに、衣服材料選定に何度もフィードバックする可能性が高いことから、研究が当初計画どおりに進まない時には、アパレル関係の企業に協力を依頼し、市販の衣類から改造することが可能なものを推薦してもらい、検討に加えることを考えている。2.試作衣の着用実験を行って、衣服の形状をさらに検討する。皮膚マーカーを確認できることが最も必要な条件であることから、全身を覆う下着状にするのか、または前掛けのように覆うだけの状態にするのかなど、さまざまなケースを考慮して慎重に形状を決定する。また、実用に供することを確認するために、照射による皮膚反応増強の有無の検討を行う。照射中に動くと照射位置がずれる危険があり、衣服材料が伸び過ぎず、ある程度患部を固定することが必要となることから、この適度な伸びをもつ材料を確保するために、布の構造を変化させた試料について、検討を行う。3.試作した衣服を、了承を得た患者さんに着用していただき、アンケート調査を行う。4.実験結果をもとに実用に見合った放射線治療時の衣服を完成させる。

次年度の研究費の使用計画

昨年度の間に治療衣の試作までは至っていないため、衣服作成のための費用を使用するに至らなかったが、この残額分を利用して試料は繊維・糸・布構造の違いなど考え得る範囲で、治療用の衣服に最適な布を選定するためにもう数種類、購入する予定である。また、衣服として成形されたものを試料として購入するため、消耗品費として50万円を計上している。調査および成果発表のため、旅費は30万円を計上する。内外を問わず広く研究成果を発表する予定である。材料実験の測定、データ整理さらに臨床試験としての着用実験のために患者登録や診療情報の整理と管理が必要と思われるため、研究(実験)補助を依頼する予定で、人件費・謝金に15万円、その他皮膚に対して安全であるかどうかの検証のための実験動物飼育委託費として35万円を計上している。以上の研究費の使用計画で、治療衣完成を目指す。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (6件) 図書 (2件)

  • [学会発表] Effects of Fiber type on the Physical Properties of Knitted Fabrics2011

    • 著者名/発表者名
      Mari Inoue, Hiroaki Fukuyama and Masahiko Kubo
    • 学会等名
      日本繊維機械学会 The 39th Textile Research Symposium
    • 発表場所
      京都テルサ
    • 年月日
      2011年8月25日
  • [学会発表] 肌着用編布の物理特性と風合い評価2011

    • 著者名/発表者名
      井上真理、黄 暁明、神家春奈
    • 学会等名
      繊維学会
    • 発表場所
      タワーホール船堀
    • 年月日
      2011年6月9日
  • [学会発表] 乳がん患者のための放射線治療衣の開発とその性能2011

    • 著者名/発表者名
      井上真理
    • 学会等名
      日本繊維製品消費科学会
    • 発表場所
      武庫川女子大学
    • 年月日
      2011年6月25日
  • [学会発表] 衣料用布地に用いられる糸のキャラクタリゼーションとその応用2011

    • 著者名/発表者名
      黄娜實、井上真理
    • 学会等名
      日本繊維機械学会
    • 発表場所
      大阪科学技術センター
    • 年月日
      2011年5月27日
  • [学会発表] Evaluation of the Handle of Underwear Knitted Fabrics2011

    • 著者名/発表者名
      Mari Inoue and Xioming Wang
    • 学会等名
      The 11th Asian Textile Conference in Daegu, Korea
    • 発表場所
      Daegu, Korea
    • 年月日
      2011年11月1日
  • [学会発表] 布と皮膚との摩擦特性に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      井上真理
    • 学会等名
      衣服学会
    • 発表場所
      金城学院大学
    • 年月日
      2011年11月12日
  • [図書] 初等家庭科教育法 新しい家庭科の授業をつくる2011

    • 著者名/発表者名
      加地芳子
    • 総ページ数
      206(70-73)
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
  • [図書] New Tribological Ways2011

    • 著者名/発表者名
      Taher Ghrib
    • 総ページ数
      498(265-271)
    • 出版者
      InTech

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公開日: 2013-07-10  

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