研究課題/領域番号 |
23650457
|
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
久保 博子 奈良女子大学, 生活環境学部, 准教授 (90186437)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 睡眠環境 / ベッドマットレス / 寝姿勢 / 体圧分布 / 体動回数 / 睡眠評価 / 寝心地 / 脳波 |
研究概要 |
直接身体に触れる寝具は寝心地や快適性をはじめとして睡眠に大きな影響を与えていると考えられるが、寝具の硬さに着目した終夜睡眠実験は少ないのが現状である。本研究では、硬さの異なるベッドマットレスを用いて終夜睡眠をとったときの寝姿勢、体圧分布、生理・心理反応について比較検討を行った。実験1:スーパーハード(160±26N)、スタンダード(130±23N)、ソフト(90±19N)、低弾性 (50±15N、反発弾性10%)の4種類のマットレスに短時間仰臥位および側臥位でSD法を用いて、20名の青年女子に寝心地に関する評価をさせた。その結果、硬さ感では、それぞれのマットレスにみあった硬さの評価結果を得た。実験2:健康な若齢者女性8名および若齢者男性7名を被験者とし、人工気候室内にて8時間の終夜睡眠実験を行った。ベッドマットレスは実験1と同様のものを用い、スーパーハードを順応夜に使用した。生理反応として寝姿勢・体圧分布・心拍・体動・脳波・眼球運動を終夜連続測定し、心理反応として睡眠前後にベッドマットレス評価、起床時にOSA睡眠調査票による主観的睡眠感の申告を得た。ソフト・低弾性では仰臥位において体幹部における最大体圧値が低く、圧力が分散していたが、側臥位ではその傾向は認められなかった。寝姿勢の変換回数はスタンダードで最も多く、大きな体動も多かったが、ソフト・低弾性では、同一の寝姿勢が長く持続し、寝姿勢の変換を伴わない手足の細かな動きが多い傾向が認められ、圧力の分散と身体の沈み込みによる影響がうかがえた。低弾性は、女性ではOSA睡眠調査票において睡眠維持の因子の得点が有意に低くかった。実験3:上記実験2を受けて、実際の生活空間での硬さの異なるベッドマットレスをもちいた終夜睡眠を奈良女子大学学生寮居住者8名を被験者とし、各マットレス3夜、合計9夜連続睡眠実験を同様の方法で実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画時に実施することを計画していた睡眠実験は、予備実験を行った結果、実験1:実験室における心理評価実験、実験2:被験者によるベッドマットレスでの睡眠実験、実験3:自宅での睡眠実験を概ね終了することができた。詳細な解析および検討等はこれからである。
|
今後の研究の推進方策 |
実験は終了したが、詳細な解析をおこなう。心理評価実験については、SD法を用いた評価データの因子分析等を行い、寝心地に関する評価に関してどの様な項目が関連しているか解析をおこなう。睡眠実験に関しては、体動および脳波による睡眠評価の解析が終了しておらず、これらを解析して、ベッドマットレスの硬さ等が異なるとどの様な影響があるか、他の要因等も含めて解析を行う予定である。解析および検討結果を基に、補足実験が必要か検討を行い、実際の生活時における寝心地評価について検討を行う。更に、アンケート調査等についても検討を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
統計パケージ等の導入により、因子分析による、心理評価をおこなう。また、睡眠評価のために、体動や脳波計測結果の検討をおこなう。これらをもとに、それぞれの実験結果から、ベッドマットレスが寝ころんだ時の寝心地、眠った時の眠り心地、睡眠にどの様な影響を与えているか、検討する。また、これら3実験から、短時間寝ころんだだけの寝心地と、8時間睡眠を取った時の眠り心地、睡眠そのものの質への影響の関連を検討する。追加実験が必要な場合は、実験消耗品や被験者代を支出する予定である。アンケート調査に関する諸費用、消耗品、アンケート謝金等の支出を行う。
|