一般的に紹介されるまちづくりの事例は、ほぼ全て成功したものであり、その教訓を述べるものが多い。その一方でまちづくりには当初の予定通り進まなかった事例も多く存在する。しかしそれらの事例を取り上げ、なぜ失敗したかを論じる調査はほとんど見られない。本研究では商店街活性化事業と市民主体のまちづくり事業を対象に、当初の予定通り進まなかった事業を取り上げ、その原因を明らかにしようとした。ところが後者については、事業が進んでいない場合すでに組織が消滅している、組織が存在していても過去の資料が散逸している、市民組織は任意団体で有り資料提供を求めにくいなどの問題が生じた。そのため、行政と関わりが有り、補助金を受給している事業、団体に対象を変えた。補助金を受給しておれば過去の資料が保存されているからである。商店街活性化事業については補助金を受けたチャレンジショップ事業を対象とし、もう一つは補助金によって整備された公共施設、具体的には認定こども園を対象とした。 チャレンジショップ事業については二つの調査を行った。一つは、経済産業省の補助金を受けた全国52組織に対するアンケート調査。もう一つは、奈良もちいどの商店街内にあるチャレンジショップ事業の入居者28名に対するアンケート調査である。前者の回収数は31票、後者は21名であった。 認定こども園については全国1110園を対象にアンケート調査を行った。回収数は438園であった。 チャレンジショップ事業については、チャレンジショップ事業の目的と成果について、入居者については入居動機と期間終了後の事業継続について分析を行った。認定こども園については主として認定こども園を設置した理由とその結果の関係について分析を行った。それらの分析を通じて、当初の予定通り進まなかった原因をまとめた。
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