研究課題/領域番号 |
23650460
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研究機関 | 山形県立保健医療大学 |
研究代表者 |
慶徳 民夫 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (00448622)
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キーワード | 日本 |
研究概要 |
平成23年度に実施した「在宅で暮らし続けるための住環境要因調査」結果から抽出した対象者の内,24年度は2人に対して縁側を設置した.累計3人の対象者に対して3ヶ月ごとに自宅へ訪問し,縁側設置前後の生活状況について「聞き取りシート」に基づき調査を実施した(年間計4回,延べ12回). ≪結果≫①縁側設置に伴う生活全般への縁側の貢献具合については,全員が役立っていると答えた.②外出行為に関して,縁側を利用した外出が多くされるようになってきている.その理由として,玄関からの外出に比べて「行為の容易(靴の脱ぎ履き行為)」さが挙げられていた.③生活における作業内容が縁側設置により変化が認められている.具体的には,知人とのお茶飲みや創作活動を縁側で行うようになった,等である.④外出頻度には明らかな変化はみられていない. ≪郵送アンケート≫24年7月20日~8月20日の一ヶ月間を調査期間として,23年度調査で経年調査への同意を得られた115人に対する郵送調査を実施し,51人から回答を得た(回収率44.4%).現在,23年度の同調査結果との比較を行うため,詳細な分析作業を行っている.また,先行の23年度調査結果について,詳細な分析を行った. ≪23年度調査結果の概要≫現在の居住環境の違いを高齢群と中年群で比較した結果,「寝室の階層」「玄関以外の出入口の有無」「玄関扉の形状」で有意な差があった.今後の居住への意識では,高齢群は中年群に比べて「杖が必要になった場合でも」「起居要介助になった場合でも」「認知症になった場合でも」,今の住宅に住み続けられると考えていることが明らかとなった.以上より,今の家でいつまでも暮らしていくための居住環境要因には,年代による差と現在の居住環境の違いがあることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の実施フィールドが平成23年3月11日に発生した東日本大震災の被災地であることから,縁側施工予定の工務店にとって復興事業が軒並み優先され,本研究の目的の一つである「縁側の設置」が進まない状況が24年度も変わらず影響したため.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,「在宅で暮らし続けるための住環境要因調査」結果から抽出した対象者宅へ縁側を設置させてもらい,縁側設置前後での生活における行動変化についての聞き取り調査を行います.
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次年度の研究費の使用計画 |
残っている対象者宅への縁側の設置を早急に進めます. 一方で,既設置者宅へ訪問しての聞き取り調査を継続して,調査内容の精査を行います.また,経年の郵送による意識調査の3回目を実施します.
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