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2011 年度 実施状況報告書

DNAマイクロアレイを用いて食品の味質に関与する遺伝子を見出す

研究課題

研究課題/領域番号 23650462
研究機関東京大学

研究代表者

朝倉 富子  東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特任准教授 (20259013)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードDNAマイクロアレイ
研究概要

食品の二次機能を決定する遺伝子群を見出すことを目的とする本研究では、主要な作物としてダイズ、コメ、トマトを取り上げ、味質に関わる遺伝子を抽出し、新しい品種の開発、または栽培方法の構築を目指す。初年度は、品種の異なるダイズを取り上げ、種子の登熟期における発現遺伝子の変動を解析した。大豆の貯蔵タンパク質はグリシニンとβ―コングリシニンが70%を占め、それぞれ栄養特性、加工特性が異なる。グリシニンは、必須アミノ酸組成および豆腐などのゲル化に関わることから、食品タンパク質として優れていると言われ、β―コングリシニンは重要視されてこなかった。しかし、近年β―コングリシニンに血中脂質を低下させる作用があることがわかり、注目されるようになった。本研究では、グリシニンのサブユニットをほとんど欠失した品種である東山205号と、親品種であるタマホマレを比較し、発現遺伝子の違いを解析した。主要貯蔵タンパク質のうち約半分を欠失しているにも拘わらず、粗タンパク質(含窒素化合物)量はそれほど変化しない。東山205号では遊離アミノ酸量がタマホマレに対して2.2倍多くなっていた。両品種の種子における発現遺伝子を比較するために、約5 mmの種子と最大サイズで脱水直前の枝豆における発現遺伝子を解析した結果、両品種間で有意に発現の変化が見られた遺伝子として塩基性7Sグロブリンアイソフォーム、seed maturation proteinなど、貯蔵タンパク質以外のタンパク質の発現が上昇していた。特筆すべきこととして、グルタチオンS-トランスフェラーゼとアスコルビン酸パーオキシダーゼの発現が、グリシニンをほとんど欠失した東山205号では上昇していることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ダイズに関するは、現在サンプルの取得を1年に1回のみしかすることができないため、綿密な計画が必要であるが、本年度、貯蔵タンパク質の組成が異なる2種類のダイズを用いて発現する遺伝子の違いを解析することに成功した。次年度は、イネ及びトマトに関する研究を進める。研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

次年度はイネおよびトマトを用いた遺伝子発現プロファイルを取得する予定である。イネにかんしては、圃場および人工気象器での酸プリングが順調に行われることが予備実験で明らかになっているが、トマトに関しては栽培方法の検討がさらに必要である。

次年度の研究費の使用計画

DNAマイクロアレイ用チップ  50000円×6=300000円マイクロアレイ用試薬   200000円

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (6件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Global gene expression profiles in developing2011

    • 著者名/発表者名
      Asakura, T.
    • 雑誌名

      Plant physiol. Biochem.

      巻: 52 ページ: 147-153

    • DOI

      10.1016/j.plaphy.2011.12.007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Genetic tracing of the gustatory neural pathway2011

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, K.
    • 雑誌名

      J. Neurochem.

      巻: 119 ページ: 497-506

    • DOI

      10.1111/j.1471-4159.2011.07443.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Human sweet taste receptor mediates acid-induced2011

    • 著者名/発表者名
      Koizumi, A.
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci.

      巻: 108 ページ: 16819-16824

    • DOI

      10.1073/pnas.1016644108

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification and Modulation of the Key Amino2011

    • 著者名/発表者名
      Nakajima, K.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 6 ページ: 1600-1602

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0019448

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analysis of the interaction of food components2011

    • 著者名/発表者名
      Asakura, T.
    • 雑誌名

      Flavour Fragr. J.

      巻: 26 ページ: 274-278

    • DOI

      10.1002/ffj.2073

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Non-acidic compounds induced the sweetness2011

    • 著者名/発表者名
      Nakajima, K.
    • 雑誌名

      Biosci. Biotechnol. Biochem.

      巻: 75 ページ: 1600-1602

    • DOI

      10.1271/bbb.110081

    • 査読あり
  • [学会発表] アカゲザル味覚関連遺伝子群の茸状・有郭乳頭株味蕾における発現解析2012

    • 著者名/発表者名
      阿部美樹
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2012年度大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都)
    • 年月日
      2012年3月24日
  • [学会発表] ヒト上皮ナトリウムチャンネル活性化剤S3969の蛍光膜電位測定による活性評価2012

    • 著者名/発表者名
      松田龍星
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2012年度大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都)
    • 年月日
      2012年3月24日
  • [学会発表] シロイヌナズナ由来シグナルペプチドぺプチダーゼ(AtSPP)の過剰発現株を用いた網羅的遺伝子発現解析2012

    • 著者名/発表者名
      養田直倫
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2012年度大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都)
    • 年月日
      2012年3月24日
  • [学会発表] チーズの苦味抑制活性とその起因となる遊離脂肪酸の解析2012

    • 著者名/発表者名
      本間亮丞
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2012年度大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都)
    • 年月日
      2012年3月23日
  • [学会発表] 味覚修飾タンパク質ネオクリンのシステインバリアント作製とその機能解析2012

    • 著者名/発表者名
      金田康平
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2012年度大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都)
    • 年月日
      2012年3月23日
  • [学会発表] 味覚修飾タンパク質ネオクリンにおけるpH依存的構造変化のNMRによる検出2012

    • 著者名/発表者名
      小泉太一
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2012年度大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都)
    • 年月日
      2012年3月23日
  • [図書] 味覚受容体2011

    • 著者名/発表者名
      朝倉富子
    • 総ページ数
      56
    • 出版者
      社団法人生命科学振興会「医と食」編集部
  • [図書] コメのアスパラギン酸プロテアーゼー機能解析と食品加工への応用―2011

    • 著者名/発表者名
      朝倉富子 阿部 啓子
    • 総ページ数
      341
    • 出版者
      三共出版株式会社

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公開日: 2013-07-10  

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