前年までに、生体ガス質量分析装置を接続した摂餌制限機能付き摂餌量測定装置の製作、改良を行い、ラットの飼育中に生体ガス分析の測定が可能であることを示した。次に、ラットを用いて、摂食回数をいくつか変えて、摂食条件の最適化を行った。 本年度においては、さらに摂食条件を検討し、最終的に、Gorging(どか食い)群は1日1回早朝2時間で摂食させた。一方、Nibbling(ちょこちょこ食い)群は1日3回に分け、40分ずつ摂食させ、Gorging群と一日あたりでは同量の摂食量になるように調整した。この摂食条件下で、33日間の飼育を行った。飼育22日目にエネルギー代謝を測定したところ、Gorging群では脂肪燃焼量の有意な低下が観察され、炭水化物燃焼量には差がなかった。エネルギー消費量はGorging群で低下傾向にあったものの有意差はなかった。呼吸商は有意に高く、Gorging群ではでは炭水化物燃焼が優先的に起こっていることが示唆された。屠殺時の体重や内臓脂肪重量には有意差がなかった。Gorging群では、血糖および血清アディポネクチン濃度は高く、インスリンは低かった。一方、肝臓トリアシルグリセロールおよびコレステロール濃度はGorging群で低く、リン脂質濃度は高かった。このように、摂食量はGorging群とNibbling群で摂食量が同じであるにもかかわらず、エネルギー代謝や脂質代謝に異なる影響が認められた。しかし、内臓脂肪には有意な影響が見られず、より長期間の試験が必要であると考えられた。
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