研究課題
東北タイのコンケン県において、都市部(コンケン市郊外:総世帯数約500世帯)、中間部(中心部から約40 km:138世帯)、農村部(同60 km:168世帯)を調査対象地に定めた。GIS解析の結果からは、都市部では大型スーパーマーケットへのアクセスが良く、農村部では周辺が農地利用されていることが明らかになった。中間部は、農地に囲まれていたが、都市へと直結する幹線道へと近かった。また、各対象地から20世帯を無作為抽出し、食習慣・栄養素摂取状態と栄養健康状態についての調査を行った。食事調査の結果では、農村部では農地で採取された作物や野生動物が食されていた一方、都市部ではスーパーマーケットや外食への依存が高かった。食事パターン、栄養状態、地理条件との関係を解析中である。その他、地元の調理レシピや、食品サンプルの収集を行った。スーパーマーケットで入手できる食品には、日本食のものも多く、日本食のグローバル化・ローカル化を見出すことができた。また、インドネシア・東ヌサトゥンガラ州において、グローバル化以前の主要エネルギー源としてオウギヤシ(Borassus flabellifer)およびサトウヤシ(Arenga pinnata)の役割が大きいことを見出し、サンプリングを行った。サブ島やスンバ島においてはオウギヤシが、フローレス島においてはサトウヤシが、それぞれ主に用いられていた。調理法にも差がみられた。ヤシによる人口支持力と、現代の食事による人口支持力を算出中である。両国調査を融合して、全体として、地方におけるグローバル化の影響の様相が明らかになり、今後の大都市から国際都市での調査へとつながるデータとなった。
2: おおむね順調に進展している
データ収集が順調に行われ、必要な解析と解釈が施された。食品やレシピのサンプルも順調に収集された。また、現地研究機関とも良好な協力体制を構築している。このようなことから、おおむね順調に進展していると判断した。
タイでは、同国の首都でありかつ国際都市でもあるバンコクにおいて、食事調査・栄養状態調査を行う。インドネシアにおいては、ジャカルタやデンパサールという都市の食習慣を調査する。さらに、世界有数の国際都市である日本の東京において、タイ出身者、インドネシア出身者の食習慣を明らかにする。そのうえで、地方村落部、地方都市、大都市、国際都市へと続く、グローバル化の進展に応じた、食文化の変容を明らかにする。
タイ、インドネシアで調査を行う旅費、それに伴う消耗品類の購入にあてる。また、一部の食品サンプルの栄養分析を行う。成果を発表する学会発表や、英文校閲にも充てる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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