タイの首都バンコクにおいて、大学関係者51世帯(131人)を対象とする調査を行った。食事調査(24時間思い出し法)の結果では、記録された1180食品のうち78.9%は外食もしくは調理済み食品の購入であった。このうちには欧米系フードチェーンのほか、日本食も含まれていたが、タイ系レストランや屋台が多かった。前年度までの調査から、東北地方コンケン県の農村部一般住民でのこの割合は17.0%、都市と農村の中間地で同25.5%、都市近郊部で同55.8%であったことと比べて、高い割合であった。バンコクでは共働きが多いことや通勤に時間がかかること、家庭での調理環境が不十分である場合があることなどのライフスタイルのほか、外食産業やスーパーマーケットの発達が影響していると考えられる。なお、調査対象を大学関係者に絞ったため、経済的な格差を反映していないことを付言しておく。また、グローバル都市東京に在住するタイ人7名からも聞き取りを行った。24時間思い出し法では、外食または調理済み食品購入の割合は高く、そのうち3名がタイ料理を購入していたが、それ以外は定食・弁当や食パン購入などであり、日本の食生活に順応していると考えられた。 インドネシアにおいては、東ヌサ・トゥンガラ州州都クパンとサブ島において、伝統的なエネルギー源であるオウギヤシおよび海産物であるnyaleの利用を調査した。サブ島においては、暦や信仰などの伝統的生活とこれらの食品が密接に関係している地域があったが、クパンでは一部の高齢者等を除いては食される頻度は低いことが示唆された。 またこれらの調査を通じて、タイ、インドネシア、ASEAN、大洋州における食品成分表を収集し、将来的に各地のエネルギーおよび栄養素摂取量の分析を行うことができる環境を整備した。
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