生活習慣病は,現代社会における深刻な病であり,予備群を含めると4人に1人が該当すると言われている.生活習慣病は,特に食生活の改善が重要である.しかし,健康診断などで医師に食生活を見直すよう促されても病に関する危機感が薄いことから,日々の多忙な生活の中で継続的に改善に取り組むことは困難である.この問題を解決するためには,日常生活の中で誰もが手軽に、かつ継続的に食生活を見直すことで,生活習慣病を改善できるユビキタスシステムを開発する必要がある.本研究は,人工知能技術を利用することで,利用者の主体性を促し生活習慣病の改善・治癒へと導くための献立メニューを作成・提示するシステムを開発することを目的とする. 本研究の特徴は,生活習慣病の改善を支援するため,利用者の嗜好を加味したメニューを複数提示することで利用者が主体的にメニューを選択できる環境を提供する点,継続を促すために,利用者のフィードバックに応じてメニューを動的に出力する点である.これまで献立メニューからカロリーなどを提示するソフトは存在するが,人工知能技術を用いて上記を実現したシステムは存在しない.本システムの普及は,国民の健康長寿に貢献するのみならず,国民医療費の大幅な削減や医師不足,介護者不足の解消にも貢献する.また献立作成という処理過程で生じる問題点は,現在の人口知能,食科学,臨床栄養学における分析方法にも還元することができることから,本研究の学術的意義は極めて大きいと考える.
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