研究課題
トランスポーター機能と栄養素レセプターの機能を併せ持つトランセプターの発見から、これらの分子ファミリーは栄養素吸収率と体内代謝をモニターできる重要な因子と想定されている。よって、ヒトにおける栄養素トランセプターの同定は、食事組成を考える上で非常に重要なテーマである。本研究では、食事に含まれるカルシウム/リン比をモニターできる、ミネラルトランセプター (XRP1 あるいは SLC34A3)の生理機能を明らかにする為に実施した。平成24年度においては、1)XRP1の細胞レベルでの機能解明、2) XPR1結合蛋白質の同定、3) XPR1-KOおよび SLC34A3マウス解析をおこなった。まず、破骨細胞を用いて XPR1siRNAによるトランセプター機能低下を起こさせると、明らかに細胞外リン濃度に応答する細胞内カルシウム遊離能は低下した。次に、XPR1蛋白のリン認識領域を明らかにする目的で各種変異体を作製した。その結果、 XPRは、細胞膜で機能する為に、複数のリン酸化シグナルモチーフが必要であることが確認された。また、yeast-two hybrid法で結合蛋白の検索をおこなった。さらに、破骨細胞において XPR1は、骨吸収において遊離される大量の無機リンを再吸収し、細胞外に排泄するのに、非常に重要な因子と予想された。次に、XPR1-KOマウスを作製したが、KOマウスは胎生致死であった。 SLC34A3 –KOマウスでは、リン負荷によるカルシウム代謝において、明らかな異常が観察されたが、 in vitro解析では、明確なトランセプターとしての機能がされなかった。よって、XPR1は、トランスポーター機能と栄養素レセプターの機能を併せ持つトランセプターとして破骨細胞等でカルシウム/リン比をモニターできる重要な因子と想定された。
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