研究課題/領域番号 |
23650494
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
村上 貴弘 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40374706)
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研究分担者 |
宮田 弘樹 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, 研究員 (90416628)
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キーワード | DNAバーコーディング / 外来種 / アリ / CAP-PCR |
研究概要 |
今年度、本研究課題を実施し、以下の成果を得た。(1)簡易PCRマシーンの開発に成功し、実際の動作確認を行った、(2)アリ類のDNA抽出を国内種10種100個体、海外種7種70個体行い、CAP-PCR DNA fingerprinting法で種特異的バンドパターンを検出することに成功した、(3)簡易PCRマシーンを用いて、(2)と同様のサンプルでPCR反応を行い、得られたバンドパターンとの比較を行った。 これらの成果を第62回理科教育学会で「DNAバーコーディング法を応用したアリ種の簡易検出法の開発と生物教育への応用」、および第60回日本生態学会で「The kin recognition behaviors and genetic structures of 8 Argentine ant (Linepithema humile) super colonies in western Japan」と題して研究発表を行った。生態学会では発表内容が評価され、ポスターセッション最優秀賞を受賞した。 また、平成24年度は最終年度に向けて教育現場への応用を計るため、高等学校での実践研究の場を確保するため、研究協力者である北海道立教育研究所附属理科教育センターの米根洋一郎氏や札幌大谷高等学校の平田真規氏に簡易PCRマシーンやCAP-PCR DNA fingerprinting法を用いたDNAバーコーディングの実験手法について講義、実習打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、初等教育機関へのDNA抽出、PCR法の効果的な教育方法を提案することである。計画2年目である2012年度は共同研究先である竹中工務店の宮田弘樹氏により簡易PCRマシーンの開発、それらを用いたデータ収集を行った。また、国内、海外のアリ種のDNA抽出、CAP-PCRによるDNAバーコーディング化も順調にデータが蓄積している。それらの研究内容を理科教育学会で発表している。また、本研究のもう1つの目的である外来アリ種の問題に関しても解析が進み、日本生態学会での発表を行い、ポスターセッション最優秀賞と高い評価を得た。したがって、概ね研究計画に沿って進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2年間の成果をもとに最終年度は実地に簡易PCRマシーンを高等学校等で使用しDNA抽出、CAP-PCR DNA fingerprinting、DNAバーコーディング化、それらのデータを使った環境教育への応用的授業を北海道を中心に行っていく。具体的には、北海道立教育研究所附属理科教育センターの米根洋一郎氏が中心として行っている実験講座と札幌大谷高等学校の平田真規氏との連携で実践的授業を行う予定である。また、環境教育の中身としての外来アリ種であるアルゼンチンアリ、ヒアリのDNA解析データを国際科学雑誌へと投稿する予定である。論文の投稿先としてはPLOS ONE、Sociobiologyなどを考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使用計画として、まずアリ類のDNA抽出やPCRなどに用いる試薬類などの消耗品が挙げられる。これらは一般的な手法によるデータと我々が開発した簡易PCRマシーンとの整合性をとるためにある程度のサンプルサイズが必要になるため、比率としては大きいものとなる。また、教育実践先として札幌を中心とした道内と道外で教育実践を行いたいと考えているのそれらの旅費が必要となる。最後に、本研究の研究成果を公表するための国際学術雑誌への論文投稿料や学会旅費が必要となる。
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