研究課題/領域番号 |
23650505
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
丹沢 哲郎 静岡大学, 教育学部, 教授 (60272142)
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研究分担者 |
石山 ゐづ美 帝京学園短期大学, 保育科, 講師 (70541704)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 科学と社会 / 遺伝子組換え / 高校生 / 社会的受容 |
研究概要 |
平成23年度の本研究の目的は、先行研究のレビューを行いながら、24年度に実施する調査の問題のフレームワークづくりにあった。そのため、研究作業の分担を、研究代表者と分担者の間で行い、その成果を持ち寄りながら2回の研究会・検討会を行った。そこで得られた成果を以下に箇条書きで示す。1.生命科学の成果を社会的課題に応用することに対する一般社会人の態度に関する先行研究をレビューした。特に、遺伝子組換え技術を社会的に利用することに対する態度と、それに影響与える因子に関してレビューを行った。これまでの結果では、影響因子としての遺伝学知識(遺伝学リテラシー)の影響に関して、いまだ一般化できる成果が得られていないことが明らかになった。2.高校生を対象にした調査研究のレビューも同時に行ったが、世界的にほとんどこのような研究は実施されておらず、そのほとんどが一般社会人対象のものであった。その意味で、本研究の先進性を確認することができた。3.調査の問題のフレームワークを、やはり先行研究における調査問題を参考にしながら作成した。具体的な調査問題の開発も視野に入れながら、これについてはほぼ完成を見た。4.本研究の基礎データとなる、遺伝子組換え技術を遺伝病検査に応用することに対する日本の一般社会人の態度についての研究成果を、9月14日から16日にイギリスのリヴァプールで開催されたBritish Sociological Associationの第43回年会において報告した。このデータは、24年度実施の調査結果と対比して使用されるもので、本研究の基本データを構成する貴重な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記実績に述べたとおり、これまで、遺伝子組換え技術の社会的利用に関する一般社会人の態度と影響因子に関する先行研究、特に遺伝学知識と態度との関係に関する先行研究、そして高校生に対する同様な調査の先行研究をレビューしてきた。その点で、23年度の研究目的は達成したと言える。しかしながら、これらの研究の数は膨大であり、今後2年間の研究の中でこれは継続して実施しなければならない。これは今後の課題である。 そして、調査問題のフレームワークについては23年度に確定したため、研究目的を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
24年度の研究目的は、一言で言うと、高校生に対する調査の実施とその分析にある。そこで、これまでの研究状況を受けて、以下のことを実施する。1.調査フレームワークに基づく調査問題の開発。23年度に学会発表した研究成果との対比という観点から、調査問題はその調査問題との整合性を図りつつ行うこととする。2.調査実施校の決定。近年、学校におけるアンケート調査が非常に難しくなりつつある。そこで、現在のところ、静岡県高校理科研究部会の生物部会に協力を依頼し、会員校すべてに調査問題を配付して実施する方策を考えている。そのための交渉は、すでに進めているところである。研究代表者である丹沢が、この調査の実施を中心的に行う。3.調査結果の分析。これは、研究分担者である石山を中心に行う。分析方法としては、因子分析、ロジスティック回帰分析の手法を用いて行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査結果の分析のためにコンピュータを1台、プロジェクターを1台、帝京学園短期大学において購入する。(200,000円)旅費については、研究会・検討会を年に2回開催するための予算と、日本における学会での研究発表旅費として使用する。(200,000円)謝金は、調査結果を入力するためのアルバイト代である。(50,000円)その他、調査のための通信費(50,000円)と、消耗品代(100,000円)がある。合計で600,000円となる。
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