研究課題/領域番号 |
23650505
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
丹沢 哲郎 静岡大学, 教育学部, 教授 (60272142)
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研究分担者 |
石山 ゐづ美 帝京学園短期大学, 保育科, 講師 (70541704)
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キーワード | 科学と社会 / 遺伝子組換え / 社会的受容 / 高校生 |
研究概要 |
前年度に実施してきた一般市民と高校生対象の調査研究のレビュー結果に基づき、調査問題のフレームワークと調査問題そのものを開発・作成した。その構成は以下のように3部からなる。1.ゲノム基礎研究に対する関心と態度、2.医療分野でのゲノム研究応用に対する関心と態度、3.農作物へのゲノム研究応用に対する関心と態度。 それぞれの問題には共通問題があり、そこでは科学技術一般に対する関心・態度と、農作物・医療分野におけるゲノム研究の応用に対する態度、さらに遺伝学に関する知識・理解(ゲノムリテラシー)を測定している。 これらの調査問題を用いて、24年度は2つの高等学校生徒を対象に調査を実施した。本研究の目的は、ゲノムリテラシーと上記領域における態度との関係を調べるものであるため、遺伝学に関する知識・理解に一定の幅があることが望ましい。そこで、公立普通高校のうち、平均から少し下の学力の生徒が通う高校1校と、いわゆる進学校と呼ばれる高校1校の、計13クラスの高校1年生を対象に調査を実施した。 対象生徒の学業上のバックグラウンドを統一するため、新しい学習指導要領で導入された「生物基礎」を履修している(特に遺伝に関して履修を終了している)生徒を選ぶ必要がある。その結果選ばれた高等学校が上記の2校であった。 調査データは、静岡大学の学生アルバイトを活用し入力を済ませ、単純集計まで終えている。今後このデータをもとに回帰分析の手法を用いて分析し、研究目的達成のために研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の3年間の基本的な流れは、①初年度に先行研究のレビューと過去に行われた同種の調査問題の収集、そして予備的調査結果の学会発表を行う、②2年目に先行研究のレビュー結果に基づく調査問題のフレームワークと問題の開発・作成・調査の実施を行う、③そして最終年度(25年度)にデータの分析と成果発表を国際学会で行う、というものである。 24年度までは、調査校の選定から実施まで計画通りに研究が進んでおり、データ入力と単純集計までをアルバイトの活用によって行うことにより、経費の節約も可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
25年度当初に最初の研究会を実施し、24年度に収集したデータの統計分析を行う。具体的には、高校生のゲノムリテラシーのレベルと、ゲノム研究の社会的応用に対する態度との関係性を、主に分散分析(多元配置分散分析)の手法を中心に解析する。 その成果は、国内では9月に開催される日本科学教育学会年会において、また発表申込みが受理された場合、国際学会としては10月にアメリカ・ボストンにて開催されるAmerican Society of Human Geneticsの年会(Annual Meeting)にて発表し、ピアレビューを受ける予定である。国際学会での発表が不可能となった場合、代替の国内学会を検討する。 そして、最終的に学会誌への投稿までを25年度の目標としている。投稿先としては上記の国際学会誌を目指しているが、査読結果次第では国内学会誌も考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記のような25年度計画に従うと、研究費の使用は、基本的にすべて旅費のみとなる。24年度にデータ入力と単純集計にかかる経費をアルバイトの活用によって節約したことによって、次年度に繰り越した予算を活用し、海外渡航費用の近年の上昇分を補い、アメリカでの国際学会発表予算として使用する。また国内学会が三重大学で開催されるためその旅費として使用する。さらに、データの統計分析とまとめ、投稿論文作成のための打ち合わせ旅費としても使用する。 以上の経費の残額分は、消耗品として必要物品の購入に充てる。
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