研究課題/領域番号 |
23650509
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
稲垣 成哲 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70176387)
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研究分担者 |
楠 房子 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (40192025)
生田目 美紀 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (20320624)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | サイエンスコミュニケーション / 科学的リテラシー / ユニバーサルデザイン |
研究概要 |
本研究の目的は,科学系博物館等において,展示支援及び学習支援のためのデザイン指針と評価手法を聴覚障害者向けのユニバーサルデザインの立場から明らかにすることである。具体的には,聴覚障害者向けのユニバーサルデザインの立場から,聴覚障害をもつ人々が科学のコミュニケーションの現場において直面している諸課題を明らかにするとともに,その克服・改善のためのデザイン指針を策定し,さらに,デザインの一例を具現化することを通して,その評価手法を確立し,科学教育の革新に資することを目指している。初年度の研究では,科学教育関連図書や科学系博物館の学習・展示支援関連図書およびユニバーサルデザイン関連図書・学術論文等を収集し,データベース化するとともに,本研究の基盤となる科学教育の観点から見た学習支援のためのデザイン指針の理論的枠組の作成に着手し,研究組織内での議論を行った。また,国内外の科学系博物館及び美術館等を訪問して,聴覚障害者対応に関する現状を調査した。国内では,国立科学博物館,国外では,ドイツ博物館,ウィーン自然史博物館,ベルヴェデーレ等を訪問し,来館者用手話コンテンツの利用実際を調べた。さらに,展示支援及び学習支援のための暫定的なデザイン指針の策定と,その評価手法の検討に着手した。その一部については,健常者を対象にして,実証実験を試みた。実証実験の成果は,The 4th IEEE international conference on Digital Game and inteligent toy Enhanced Learning 2012(高松・日本)において発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究の目的については,順調に達成されていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,平成23年度の成果を発展させて,以下のような計画及び方法で実施する。なお,平成23年度の実証実験が小規模であったので若干の予算が繰り越されたが,それは平成24年度の実証実験に使用するものとする。1. 科学教育に固有な展示支援・学習支援のためのデザイン指針及び評価手法の精緻化:平成23年度に引き続き,文献調査と国内の実地調査を継続する。また,前年度の予備調査の結果も踏まえて,科学教育に固有な展示支援・学習支援のためのデザイン指針及び評価手法を精緻化する。2. 科学教育に固有な展示支援・学習支援のためのデザイン指針及び評価手法に関する実証実験の実施:科学教育に固有な展示支援,学習支援のためのデザイン指針及び評価手法等の成果に基づいて,科学系博物館でデザインを具体化した事例について実証実験を実施する。3. 研究成果の学会における公表:研究成果は,日本科学教育学会(JSSE)等において公表する。日本科学教育学会の第36回年会では本研究課題に関連する自主企画課題研究を年会企画委員会に提案して実現する。そこでの議論を踏まえて,本研究における2年間の成果を整理し,まとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費としては,科学教育関連図書,ユニバーサルデザイン関連図書,データ格納用HDD等を計画している。また,成果発表のための旅費も必要である。実証実験では,実験補助のための謝金等,その他では,英文校閲費等を使用する。
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