研究課題
本研究は,『東アジア気候系』について,『気候環境の成り立ちと大陸形成史』,『独特な季節サイクルが醸し出す多彩な季節感』の絡みを軸に,総合地学教育や文化理解教育(音楽,詩歌,美術等との教科横断的学習)自体へも貢献するようなESD学習プランの開発を目的とする。H25年度には,日本付近の地形環境形成史を考える基礎情報としての,流紋岩形成時における地球磁場の正確な反映能力を調べるために,九州阿蘇地域に分布する約5万年前に噴出した流紋岩溶岩の2本のドリルコアを用いた古地磁気学的研究を行った。その流紋岩は形成時の冷却過程で明瞭な変形を被っており,その変形の際に獲得された成分が,当時の地球磁場を反映した可能性も高い高温成分であったと解釈できた。また,大陸移動と日本付近の気候系に関して,アジアモンスーンサブシステムの各々の役割や日本海の存在・特徴も反映した季節サイクルと季節感にも目を向け,大学生向けの授業開発も行った。また,その結果としての夏や冬を挟む季節進行の非対称性に注目して,オホーツク海気団の広域的実態の季節経過,音楽や美術の鑑賞や創作活動との連携も含めた冬を中心とする初冬と早春との気候や季節感の比較(歌曲の分析も含む),などの知見を体系化し,学際的連携も含めた授業開発研究を行った(中学生,高校生,大学生,それぞれを対象に)。このような『季節の変わり目』に敢えて注目して「日本の気候や季節感」が広域季節サイクルのどのような切り口を反映したのかを意識させることで,ESDマインド醸成でも重要な,「一見似たもの同士の大きな違い」や「意外なもの同士の深い繋がり」が見えてくるようにした。なお,論文等に纏められた本課題の一連の成果は,上梓された著書『気候と音楽―日本やドイツの春と歌―』(加藤晴子・加藤内藏進,協同出版)(岐阜聖徳学園大学からの出版助成)の素材の一部としても活用されている。
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